「ちっ……なんだ、ここはスマホの電波が届かねえのか……」
「今、日本がどういう状況なのか知りたかったですね。ハルキさんたちとも連絡を取りたかったですし」
レクトとリオは、電波の繋がらないスマホに向かって言った。
「それより、少し休んだほうがいい。ヴェルミラの薬とソルフィスでラクになったとはいえ、体は疲れ切ってるはずだ。ヴァルザーク艦が来るまでの間、仮眠でも取っておいてくれ。もちろん、ミレルさんもです」
「エリオンさんは起きてるんですか?」
「私はせいぜい、ソルフィスを使ったくらいだからな。アレンたちに比べれば、なんてことはない」
確かに、横になればいつだって眠れそうな状態ではあった。隣りにいるレクトも大あくびをしている。
「確かに、3時間はやることもないもんな。じゃ、エリオンさんのお言葉に甘えて、休ませてもらうとするか」
そう言ってレクトが横になると、私たちも眠りについた。
***
「おい、起きな! アレン! レクト! リオ! サリア!」
ミレルの大声で目が覚めた。
「ど……どうしたんです、ミレル先生……」
「エリオンがいないんだ。ノクシアも一緒に消えている」
「ノ、ノクシアも!? どこに行ったんです、エリオンさんは!?」
アレンは驚きのあまり、床から飛び起きた。
「私にも分からないよ。もしかしたら、私たちは裏切られたのかもしれないね」
私の嫌な予感が当たったのだろうか。それにしても何故……
「で、でも、裏切るなら、僕たちにソルフィスを当て続けるなんてことはしないんじゃないですか!?」
「いや……それで、私たちを騙せるならお安いものだよ」
「でも、俺たちを騙すってんなら、眠ってる間に殺すことだって出来たんじゃねーか? それはどう思うよ、先生!?」
「誰か1人は不意打ちで殺せたとしても、全員は無理だろうね。今や、お前たちの対人量術はエリオンよりずっと上だ」
私たちが自分たちの本当の力に気づいたのは、ついさっきのことだ。当然、私たちが強いという自覚もまだ芽生えていない。
「そういえば……ひとつ、気になっている点があったんだ」
「な、なんだよアレン、気になる点って」
「エリオン……いや、ドレイク大佐というべきか。ドレイク大佐はヴァルザーク3号艦の艦長でもあったんだ。その人が何故、レヴァナントに乗っていたのかということだ」
「もしかして……」
「ん? なんだサリア?」
「もしかして、次期大将候補と言われているザイル中将と組んで、ロウゲンを蹴落とす作戦なのかなって思ったんだけど。――考えすぎかな」
私がそう言うと、皆も「うーん」と考え込んでしまった。
「裏切ったのじゃなければ、私たちに何か言葉を残してくれると思うんだよね、エリオンなら。もしかして、私が知っているエリオンとは違う人物だったのかもしれないね……」
ミレルはそう言うと、大きなため息をついた。