「なかなか立派な家だろ! さあ、入って入って!」
ノクシアに積んであった簡易ハウスだろうか。レクトが玄関から出てきて、出迎えてくれた。私たちは早速中へと入っていく。
「凄いな……私たちの家より立派じゃないか……」
「でも、僕は今住んでいる家の方が好きですよ、サリアさん」
「リ、リオ! 気がついたのか!!」
「ええ、飛行中に目が覚めました。みなさん、改めて色々とありがとうございました。サリアさんなんて、レヴァナントを落としてくれたそうですね……本当に凄いですよ、サリアさんは……」
「何言ってるんだ、リオ……ハルキもいたから、レヴァナントを落とせたんだ。そのハルキだって、リオが守ってくれなかったら死んでいたかもしれないし。お礼を言わなくちゃいけないのは、私たちの方だ。――こちらこそありがとう、リオ」
私が言うと、リオは少し目を潤ませた。
「エリオンさん。さっきミレル先生から、エリオンさんはエルシア人だということを聞きました。色々と助けてもらってありがとうございました」
アレンはそう言って頭を下げた。
「いやいや、本当ならすぐにでも助けに行きたかったんだがな。なかなか行けずにすまなかった」
「そういやさ、アレン。俺たちに
「なっ、なんだって!?」
急に大声を出してしまったからか、アレンは痛む首元を押さえた。
「ど、どういう事なんです、エリオンさん」
「ああ……それは、レヴァナントの量術を全て消費させるためだ。ミレルさんならアレスレイを防げると、私は信じていたからね。案の定、レヴァナントは量術を使い切り、一時的に対空レーザーさえ放てなくなってしまった。理由としては、そんなところだ。――まあ、過ぎてしまった話はこれくらいにして、今後の話をしようか」
エリオンは表情を引き締め、そう言った。
「そういえば、ヴァルザーク艦も来ると仰っていましたね、エリオンさん」
「そのとおりだ、アレン。あと3時間も経てば、3隻のヴァルザーク艦が地球の大気圏外に到着する予定だ。ただ、ヴァルザーク艦がどういう出方をするのか、私にもまだ分からない」
「そういえば……どうして、レヴァナントはヴァルザーク艦を待たなかったのですか?」
「レヴァナントを率いていたロウゲンは、次期大将の座が危ういと言われていてね。ヴァルザーク艦率いる、ザイル中将が次の大将ではないかと噂されていたんだ。そこで私は、ロウゲンに
なるほど、そういう理由があったのか。
だが、何故だろう……あまりにもエリオンが描いたシナリオどおりで、少しの怖さを感じるのは……
「それで……? エリオンはどう考えているんだい? 今後の敵の出方を」
そう訊いたミレルの顔をじっと見る。ミレルはエリオンに対して、違和感はないのだろうか。
「ヴァルザーク艦隊を率いるザイル中将は慎重かつ、聡明な男です。地球の大気圏外に到着した段階で、レヴァナント艦が消滅したことを知るでしょう。ヴァルザーク艦も素晴らしい艦ではありますが、全ての面でレヴァナント艦に劣っています。――地球からの完全撤退……もしくは、少なくとも一時的な撤退はするものと思います」
レクトとリオは「よしっ!」と喜びをあらわにした。