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ミツキ

「さあ、着いたぞ。――おお、ちょうど良かった、ミツキちゃん外に出てるじゃないか。おーい、ミツキちゃん!」


 大木は車の窓を開け、掃き掃除をしている女性に声をかけた。


「こんにちは、大木さん。今日も元気そうですね」


 ミツキという女はフフフと笑ってそう言った。


 何故だろう。何故だか分からないけど、この女は苦手かもしれない。


「ミツキちゃん、後ろ見てみな」


 大木は得意げにそう言うと、後部座席に座っている私たちを指差した。


「まっ! 大木さんが捕まえたんですか!? か、彼らは一体何を……?」


 ダメだ、やっぱりこの女は好きになれそうにない。



***



「私、隣の家に住んでる鳥居ミツキです。おじいちゃんが亡くなってからは、私が大家業を引き継いでます。それよりも……本当にごめんなさい! よりによって犯罪者と間違えちゃうだなんて!」


 ミツキはガバっと深くお辞儀をしてそう言った。


「い、いや、間違いなんて誰にでもあるから。お、俺、レクトっていいます! ミツキさん、今日からよろしくお願いします!」


「ぼ、僕はリオです! わからないこと色々出てくると思うので、教えてくれると嬉しいです! ……ほ、ほら、サリアさんも!」


 話そうとしない私に気づいたのか、リオが肘でつついてきた。


「――サリアです」


「皆さん確か、ひいらぎ姓でいとこ同士なんですよね。柊レクトさんに柊リオさん、そして柊サリアさんか……皆さんとっても素敵なお名前。――そうそう、とりあえず鍵を取ってきますね!」


 ミツキはそう言うと、隣の一軒家に鍵を取りに行った。どうやら、私たちの家とミツキの家は隣同士らしい。


「――ねえねえアンタたち、さっきの態度は何……? もしかして、あの女のこと気に入ったとかじゃないよね?」


「ま、まさか。量術の一つも使えない地球人なんか、気にいるわけないじゃないですか。ね、ねえ、レクトくん」


「いや……なんて言えばいいんだろう。正直に言うと、俺の胸が高鳴ったのは事実だ。ミツキさんが特別なのか、地球の女が特別なのかは分からない。――すまん、俺は自分に嘘はつけない」


 マジか……


 リオは否定したが、きっとレクトと同じような気持ちなんだろう。普段が誠実なだけに嘘が下手すぎる。


「ごめんなさい、お待たせして。鍵の数は3つあるから、とりあえず複製は作らずに済みそうかな? それでね、契約のときに家財道具はそのままでいいって言われていたから、そのまま放置してあるの。使わないものや、不用品があったら教えてちょうだい。私たちで処分するから」


「私たちっていうのは……?」


「ああ、ハルキっていう兄がいるの。そのうち、紹介させてもらいますね。――あ! もし、干渉しすぎてると思ったら気兼ねなく言ってね、田舎の人間ってズケズケ入ってくるから。――それと、お揃いの服とっても素敵ね!」


 ミツキは笑って言うと、レクトに鍵を渡して自宅に戻っていった。

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