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到着

『皆さん、長旅お疲れ様でした。ただいま地球に到着いたしました』


 セレスタ号のアナウンスにより、私たちは目を覚ました。窓の外を見ると目的の星、地球が目の前にあった。


「ほっ、本当にヴェルミラにそっくりじゃないですか……レクトくん、起きて! 地球に着きましたよ!」


「――うっせーな、大声出さなくても起き……おっ、おおっ!! 海に雲、大地の色までまんまヴェルミラじゃねーか!」


 レクトは激しく目をこすりながら、地球を眺めている。もうすっかり目は覚めたようだ。


「大陸の形こそちょっと違うけど、ヴェルミラだって言われても最初は気づかないかもしれないね。――ところで、私たちはどの場所に着陸するの?」


『今ちょうど中心に見える縦長の列島、日本という場所に着陸します』


「大きな大陸がいくつもあるってのに、よりによってあの小さな島なのかよ。もちろん、理由はあるんだよな?」


『もちろんです。理由の一つは、地球人の中でも特にアジア系と呼ばれる人たちと、私たちヴェルミラ人の姿形が似ているからです。もう一つの理由は、比較的治安の良い国であるということです。――申し遅れましたが、移動中に日本語および、日本の基本的な情報も皆さんにインストールしておきました』


 ほう、治安は良いのか。攻撃力がない私たちにとって、治安が良いのは助かる。ヴェルミラ統律院も、私たちの安全を確保しようという気持ちはあるようだ。


 その後、セレスタ号は日本へと短距離ワープし、私たちと一時の別れを告げる時が来た。


『それでは皆さん、お元気で。今後の行動に関しては、リオさんにお渡ししておきました。そちらを皆さんで共有してください』


「おう、色々とありがとうな。セレスタはこれからどうするんだ?」


『私は量術を充填する必要がありますので、しばらくはこの場所で待機です。その後、地球の海底に潜むことになります。何かありましたら、お呼び寄せください』


 セレスタはワープのたびに量術を充填する必要がある。スリープ状態に入ったのか、ポジションライトが静かに光量を落としていった。



***



「こっちの方向ですね」


 リオに誘導され、目的地までへの移動を始める。道の両脇には畑、遠くには民家がポツポツと見える。


「なあ、リオ。俺たちの感覚からすれば結構な田舎に見えるんだけど、こっちではどうなんだ?」


「確かに、日本の中でも田舎の部類に入るようですね。この辺りを選んだのは、セレスタを見られないようにする理由もあったのかもしれません。――さて、目的地まではここから約1時間ほどかかるようです。頑張って歩きましょうか」


 リオのセリフに、私とレクトは悲鳴を上げた。

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