「ほれ、意外となんとかなっただろ」
「パボ!(アホ)、お前の仲間がこなかったら俺たち全員病院送りだったぞ!」
「あ~、事前にチョーコーに援軍頼んだの言ってなかったな。ははは」
「ははは、じゃね~よ!」
「まあ、もう終わったことだ。ほれ、手貸してやるぞ」
「ちっ、そんなんいらね~よ。自力でたてらぁ」
「そうか」
夜、三鷹駅前近くの広場らしき場所で、キムたち3人と応援にかけつけた10人のチョーコー生が士官勢との一戦を終えて談笑していた。
加勢に来たチョーコー生10名の綺麗な姿と比べたら、彼らが応援に駆け付けるまで、たった3人で士官10名を相手にしていたキムたちは、服も顔もボロボロだった。
士官10名は、チョーコー生10名が現れた途端、慌てふためきいずこかへ消えていった。
「そいつ、韓学か?ブンよ、お前も顔が広いな」
応援に駆け付けた一人、キム・ジュンキがハンの顔を見ながらキム・ブントクに言った。
「はは、まぁな。もう俺たちチョルチン(親友)よ。な!ハンくん」
笑顔でハンに顔を向けるキム・ブントク。
「はぁ~!?チョルチンだって!?寝言は寝て言えよ」
「ハンとか言ったかお前?同じ在日とはいえテメーは韓学だ。あまり舐めた口聞かねえほうがいいんじゃねえか?」
キム・ジュンキが、ハンに近づく。
他のチョーコー生たちもハンの言葉にピリついた。
「くっ・・・・・・」
百戦錬磨のキム・ジュンキの圧力に、ハンは押され気味に後ろに一歩引いた。
「まぁええじゃないか、ジュンキ。ハンもさっきまでの喧嘩でアドレナリンが出て興奮状態なのさ。な?ハン」
ハンとジュンキの間に入ったキム・ブントクが仲裁に入る。
「ふん・・・・・・」
ハンは、腕を組みながら、近くの花壇を囲んでいるブロックに腰を下ろした。
(ジュンキ・・・・・・どこかで)
岸本は、ジュンキという名前に反応し、一人考え事を始めた。
「あ!もしかして、三河島に住んでるキム・ジュンキさんですか!?」