目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第50話 韓国学園とチョーコー、血の同盟 その7

夕方過ぎ 三鷹市内 焼肉店「ハンガン」


「ほれ、岸本くん!カルビくえ!」

「は、はい・・・・・・」


焼肉屋の店内の一テーブルで、肉を焼くキム・ブントク。

それを正座しながら見ている岸本。

あぐらをかいてウーロン茶を飲むハン。


「なんだハン。お前はカルビ食わね~のか?さては、パンチョッパリだなてめー」

「うるせえ!俺は在日韓国人じゃ!」

「ははは・・・・・・」

「何が面白れーんだ!きしちゃん!」

「い、いや・・・・・・別に・・・・・・」


「ブン。お前が友人をここに連れてくるなんて珍しいな」


皿にのせたホルモンを持ってきながら、ブントクに話しかける店主。

見た目40代後半くらいのひげ面、短髪の男だ。

頭には白いタオルを巻いていた。


「まあな。ところでビールは?」

「てめー!誰が高校生にビール何か飲ませるか!十年早え!」


ブントクの頭をひっぱたく店主。


「いてー!何すんだ!」

「カカカ!これで少しは頭もよくなっただろ」


店主は、笑いながらキッチンへと消えていった。


(これが本当にあの極悪非道の朝鮮高校の番長なのか?)


岸本は、コップに入ったオレンジジュースを飲みながら、キム・ブントクをまじまじと観察していた。


「ん?俺の顔に何かついてるか?」


肉を食いながらキムが岸本に言った。


「い、いえ!何でもないです」


慌てて、自分のさらに盛られた肉に箸を伸ばして頬張る岸本。


「う、うまいです・・・・・・」


岸本は、肉のうまさに思わず自然と声が出た。


「そりゃそうだ。叔父さんがわざわざ現地まで行って厳選した神戸牛だからな」


キムは岸本に肉をほめられた嬉しそうだった。

言葉から察するに、どうもこの店は、キム・ブントクの叔父さんがやっている焼肉店のようだった。


「けっ!焼肉屋なら、俺のイルガチンチョク(親戚)もやっとるわ」


テーブルに肩ひじをつきながら、まだ悪態をつくハン。


「まあそういうなよ。騙されたと思って食ってみな」


右手で持った箸で肉をつまみながら、ハンに応対するキム。


「ちっ・・・・・・」


舌打ちしながら、鉄板上にある、焼けたばかりのカルビに手をつけるハン。


「俺は正直者だからな。不味かったらボロクソに言っちゃるぞ」

「分かった分かった。兎に角食ってみ。飛ぶぞ」


モグモグ。


「意外と、うまいな・・・・・・」


ハンは正直に言った。


「そうだろー!ここの焼肉店は日本一だからな!明月館(日本で最初の焼肉屋)より上よ」


叔父さんの捌いたカルビを褒められて、キムは自分の事の様に嬉しがった。

その頃、三鷹駅前では・・・・・・。




三鷹駅前


「いたか?」

「いや、いねー」

「ちっ、どこ行ったんだ」


山内たち蛇腹三人組が三鷹駅周辺を捜索していた。


「それにしてもおせーなー」

「もっと早く招集かけておけばよかったな」

「まさか、キム・ブントクと会うとは思わなかったからな」


山内たちは、金三兄弟のキム・ブントク対策として、キムにぶん殴られた後、慌てて士官10名を公衆電話から招集していた。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?