夕方 網島駅内
神奈川チョーチュー生へのゲリラ戦法をしていたサカン生3人組を発見した神奈川チョーコー生5人は、発見され逃げるサカン生3人の内の1人を捕獲に成功。
5人に取っ捕まったサカン生1人が、サイ・ガンチョルの前に連れ出された。
サカン生は、ニグロヘアーの身長170cmぐらいの男であった。
「おい、お前。国士なら大和魂があるんだろ?なら、俺とタイマンといこーじゃねえか」
サカン生に向かって、一際大きいチョーコー生が口を開いた。
サイ・ガンチョルは、エピソード6と42にも書いた通り、2m130kgもの身長と体重を誇る気性の荒い男だった。
耳は餃子耳をしており、小学生の頃から柔道を習っていた。
だが、喧嘩の時にはあえて柔道技は使わず、もっぱら殴り合いで喧嘩の場を過去何度も制してきた男だった。
その体格と喧嘩の武勇伝は、神奈川全土にとどろいており、日本人の不良や族からは、その体格も相まって「ハマのエンタープライズ」と言われ、神奈川チョーコーの番長と恐れられていた。
「・・・・・・」
ハマのエンタープライズの言葉に、捉えられた国士館高校3年・桜井は明らかに怯えて小刻みに震えていた。
「おい、お前名前何て言うんだ?」
「さ、桜井だ」
「そうか、俺はサイっていうもんだ」
両手をポケットに入れながら、桜井と会話するサイ。
「おい、離してやれ」
サイの命令で、桜井を捕まえていたチョーコー生たちが手をはなす。
自由になった桜井は、立ち上がると同時にサイの股間へ金的蹴りを放った。
ガッ!
「!!」
桜井は驚いた。
桜井の金的蹴りは、サイの厚い太ももに阻まれて、股間まで届かず途中で止まったからだ。
グワッ!
金的蹴りが太ももの間辺りで止まったと同時に、サイの両手が桜井の両襟を掴む。
間髪入れず、サイは桜井の眉間へチョーパンをかます。
「がっ・・・・・・」
桜井はあまりの衝撃に、思わずうめき声を発した。
サイは、のけぞる桜井のニグロヘアーを両手で掴むと、その頭に向かって膝蹴りを連発。
特に、鼻周辺へ膝を執拗に叩き込んだ。
ガッ!ゴキャ!グシャ!グゴ!
膝を入れられてる間、桜井はなんとか膝蹴りから逃れようと、両手でサイの両手首を掴んで引きはがそうとしたが、サイのパワーが勝り、3・4発と顔面に膝蹴りをモロに喰らってしまう。
ドキャッ!
5発目が顔面に入ったあたりで、自分の手首を掴んでいた桜井の手に力が入らなくなったのを感じたサイは、掴んでいたニグロヘアーを離した。
ドシャアァ・・・・・・。
髪を離された桜井は、うつぶせに地面に音を立てて倒れていった。
鼻は完全にあらぬ方向に曲がっており、顔面は血まみれであった。
「・・・・・・」
うつぶせで倒れた桜井をのぞき込むサイ。
(死んだか?)
一瞬そう思ったが、見た感じ死んでなさそうなので、サイはそのまま放置しとくことにした。
「おい、行くぞ」
サイは、周りにいた5人のチョーコー生に声をかけると、足早にその場を後にした。
後に、この国士館高校3年・桜井とサイが、横浜で再び遭遇する事になるのだが。
それは、また別の時に・・・・・・。