角材で脳天を思いっきり殴られた加藤は、脳天から血を吹き出しながら意識が飛んでふらついていた。
それを両手で加藤の両襟をつかみ倒れないようにしたリーは、そのままホーム側の割れた窓に思いっきり投げつけた。
ガッシャーン!
割れた窓に思いっきり顔を突っ込んだ加藤の頭で、割れたガラスがさらに割れ、そのまま窓の額縁に頭を寝かせたまま、一歩も動くことはなかった。
「おらぁー!」
「ぼけがー!」
車内に飛び交う男たちの怒号。
車内は、チョーコ25名とサカン連合23名の乱闘で大混乱が続いていた。
「おらぁー!チョンコーを1匹捕まえたぞ、引きずり出せ!」
士官大勢を相手に、ファン・シュウスケと共に前線で交戦していた、チョーコー2年・チャン・クンチョルは、士官大応援団に所属する・岡田真洲男が振り回した木刀で左こめかみを殴られ負傷。
その威力で、意識朦朧となったチャンは、そのまま、岡田真洲男に電車の外まで引きずり出され、ホームにいた士官大生数名から傘の柄や先端で何度も突かれたり殴打され、気絶。
乱闘終了後、救急車で近くの病院に搬送され、全治半年の重傷を負った。
一方電車内では、既に士官連合は持っていた武器を捨てて、チョーコー達と殴り合い掴み合いに移行していた。
車内の狭さと武器を振り回して使用していたことで、金属バットは凹み木刀角材は折れて使い物にならなくなっていたからだ。
既に、この乱闘でチョーコーや士官両方のごんたくれ達は、双方髪はグチャグチャ、服もはだけたり破れたりして、顔も殴りあい掴み合いで腫れたりひっかき傷が顔中に点在している状況だった。
だが、お互いにひかない。
チョーコー勢は、朝鮮民族として日本人に負けるわけにいかず。
士官側も、自分たちの国を外敵から守るという大和魂を背負っていた。
お互いの意地が、狭い車内で激しくぶつかっていた時。
運転席付近で、高瀬とキムブントクが激しくぶつかり合っていた。