「おらおらおら!てめーらに俺たちのナワバリは跨がせねえ!」
ドガシャ!
バキ!
グシャ!
国士館連合25名は、各々が持参した武器で、チョーコー勢が乗っている1両目を滅多打ち。
金属バットなどで叩かれ続けた車両のガラスは全て割れ、外装はみるも無残に全面が凹んでしまっていた。
(な、なんでボクがこんな目に~!)
車掌・樋口は、電車の床に這いつくばりながら、早くこの攻撃が終わるのを祈り続けていた。
「貴様らー!打ち方やめー!」
国士連合のリーダー・花田幹夫は、大声をあげて攻撃を中断させた。
「「「押忍!」」」
その号令に従い、24名の士官勢は、電車への集中攻撃をやめた。
それを確認した花田は、スゥー!と鼻から思いっきり息を吸い込むと突然大音量の大声をあげた。
「とつげきぃー!!!!」
花田の大声がホームを飛び越え、高田馬場駅周辺にこだまする。
「「「おお!!!」」」
その合図に呼応し、24名の士官勢は一斉に電車のドアに向かって突撃した。
電車に乗り込み、チョン公共を袋叩きにする戦法であった。
電車内をチョン公どもの墓場にするため、士官勢は、電車を破壊し発車できないようにしたのだ。
前日の敗走した汚名を、自分たちのナワバリである高田馬場で払拭し、なおかつチョン公どもを完膚なきまでに叩きのめして完全にこの抗争の雌雄を決するつもりであった。
花田は、目の前の歪みながら開いているドアに向かって一直線にダッシュして乗り込もうとしたその時───。
「チョッパリは、電車使用禁止じゃ!」
ドガシャァ!
サカンが乗り込んでくるのを待っていた、ユン・ケンホウが、ジャンプ一番飛び前蹴りを花田の顔面に叩き込む。
「ぐぎゃあぁ!」
踵に金属を装着した革靴での前蹴りをもろに喰らった花田は、口から数本の歯と血を噴き出しながら、動物の様な悲鳴をあげて後方に吹き飛んだ。
「花田さん!」
「うあああぁぁ・・・歯、歯がぁぁぁ」
後方にいた国士館大一年の加藤が、慌てて倒れた花田の元に近寄る。
「このやろぉぉ!チョーセンジンがぁぁ!」
怒る加藤。
だが、加藤の怒りをよそに、リーダーの花田がやられた事で、サカン連合の約3分の1、8名もの士官坊がたじろいでしまった。
だが、残りの士官勢16名は、さすがの国士館。
「花田さんの弔い合戦じゃ!お前らいくぞぉぉ!」
花田をいきなりやられ、たじろぎ戸惑っている8名をよそに、準リーダーである高瀬將道が野太い大声をあげ、先導し単身1人で運転席側のドアからチョーコー勢が身構える電車内に突入した。
電車内に入った瞬間、1人の男が目の前に立ちはだかった。
「このメガネは俺がやる」
「アラッソ!」
周りのチョーコー生にそう言い放ったキムブントクに、チョーコー生が呼応。
左側のドアから侵入した高瀬と対峙した。
残り23名のサカン連合勢も、高瀬に続けとばかりに、他の3つのドアから侵入しようと雪崩をうつが如く侵入しようと試みる。
だが・・・・・・。
「床に落ちてるガラスで迎撃しろ!」
「おお!」
リーエイシュクの指示で、サカン達が割った電車の窓から車内に落ちたガラス片を、電車内に侵入しようとするサカン勢にチョーコー勢24名が一心不乱に投げ始める。
「うわ!」
「いて!」
「やべぇ!ガラスだ!あぶねえ」
「卑怯だぞ!チョン公!」
顔を両腕で隠しながら、チョーコー勢に罵声を飛ばすサカン勢。
「馬鹿か!武器使う卑怯な真似してるのはどっちじゃぼけぇ!」
サカン勢の罵声に応戦しながら落ちているガラスを投げまくるチョーコー生。
ガラスが雨あられと自分たちへ飛んでくる中、士官連合24名は、中々電車内の入れず、ドアの前で立ち往生していた。
そんな中、士官大2年の佐藤が意を決する。
(このままじゃ埒が明かねぇ)
ガラス対策として、ジャバラを脱いだ佐藤は、それで顔を覆い隠しながら気合をいれた。
「朝鮮人がなんぼのもんじゃい!死にさらせカスども!」
そう大声をあげると同時に、電車内に突入。
「ジャバラが来たぞ!」
「おっしゃー!昨日同様返り討ちにしてやるわ!」
自分たちに向かって単身突っ込んできたことでチョーコー勢も気合が入る。
目の前の士官坊がジャバラで顔を隠しているので、ガラス片を投げても有効打が打てないと判断したファン・シュウスケは、手に持っていたガラス片を捨てて目の前の佐藤へ同じく突撃、激しく衝突した。
「佐藤先輩がいったぞ!俺らもいかんと国士の恥じゃ!全軍突撃ぃ!!!」
残り23名の士官連合も、佐藤に続いて一斉に3つのドアから車内に侵入。
空中戦から一転、チョーコー25名vs士官連合24名の激しい電車内乱闘戦が開始された。