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第5話 病院での誓い

池袋の喫茶店に朝高生たちがたむろっていた。


ごんたくれ朝高生たちは、十条を中心に都内のいたるところを仲間と共に巡回、ナワバリ争いに精を出していた。

生意気そうな日本人不良を見つけては、ガンのくれあいで喧嘩。

もちろん、相手が手を出すまではこちらは決して手を出さない。

朝高の校長による朝の挨拶でも繰り返し言われている。


「喧嘩を売るな、売られたら買え!買ったら負けるな。 負けたら朝高には来るな」


これを朝高生のごんたくれたちは忠実に守っていた。


また、こういうルールもある。

障碍者などに対しては何を言われてもどんな攻撃をされても無視、相手にしない。

それが漢の集団朝高生である。


相手にするのは、明らかにイキっている不良学生、族、ヤクザ、のちにちゃらいチーマー。

その狩りの対象は時代とともに変わっていった。


そして、その対象者が差別的発言。

「チョン」

「チョン公」

などと言えば、問答無用で袋叩き、即入院コースに突入させられる。

中には朝高生の圧倒的喧嘩強さの前に、入院中に不良を引退する者、引きこもりになる者など続出した。


また、差別的発言の他に、指先一つでも朝高生に触ったら最後。

上記と同じトラウマ入院コースへ送られる。


そうやって代々、最強のバンカラ高校「朝鮮高校」は、日本人不良学生たちからバカにされる対象から恐怖の象徴へと変わっていった。


話は戻るが、池袋の某喫茶店で数人の朝高生たちがたむろしてバカ話に花を咲かせていた時、後輩の1年のカクユウイチが慌てて喫茶店に飛び込んできて、3年の朝高生たちの前に直立不動になりながら急いでこう報告した。


「1年のハクが国士館の連中に袋叩きに合い、今救急治療室にいるそうです!」


椅子に座っていた朝高生たちは、一瞬で先ほどまでの笑みが消え、一気に真顔に変わった。


3年の一人であるリーケンタは、怒りで顔を真っ赤にしながら1年坊にこう聞いた。


「病院はどこだ!?」


カクはこう答えた。


「東京医科大学病院です!」


「分かった、俺はやった国士館の連中を探す。残りは病院へ行って状況を聞いてこい」


リーは、脱いでいた革靴を急いで履くと、そのまま風のように喫茶店を飛び出した。




─東京医科大学病院


数時間後、国士館に襲撃されたハクを見舞いに来た朝高生たちは愕然とした。

ハクは病室で顔中包帯につつまれ意識不明状態で眠っていたのだ。

包帯の間から、見えるその肌は紫色に膨れ上がり、見ているだけで痛々しかった。


ハクの友人の朝高生キムセイシュウが、先輩たちにその状況を報告した。


「卑怯にも国士館の奴らは、俺と赤羽で別れた後、1人になったハクを狙って襲い掛かったそうです」


涙を流すキム。


「あそこで俺が別れなければ・・・・・・」


3年の朝高生パクトクマサがキムに聞いた。


「さかんの奴らの人数と顔は分かるか?」


「いえ、俺が駆け付けた時にはさかんの奴らはいませんでした。でも野次馬の1人が言ってました、ハクは大人数のさかんたち相手にも一歩も引かず戦っていたそうです・・・・・。ハクは、最高の朝高魂を持った男です」


その話を聞いた、その場にいた朝高生たちは全員、胸が熱くなった。

そして、国士館生への復讐を誓うと同時に、日本人に負けてたまるか!という朝鮮人として誇りが沸き上がっていった。


「そうか、よし!その襲った国士館の奴らの情報を調べるぞ。奴らが逃げて俺たちと決闘しないようなら、1人1人の家に襲撃に行く。お前ら行くぞ」

「おお!」


パクトクマサの指示に病院の個室にいた、10人程度の朝高生たちは気合を入れると同時に、勢いよくは迷惑がかかるので、そっとドアを開け閉めし、早歩きで病院を後にした。

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