朝の京浜東北線某駅
社会人含め、色んな学生も利用している駅である。
「昨日夜、族がコンビニでバイクふかしてやがったからよー」
「うんうん」
「もちづきっちゃんそいつらをいきなりぶん殴ってもう大乱闘よ」
駅のホームを歩く三人組の高校生、望月、百池、宗田。
みなリーゼントや坊主頭など、舐められないように気合が入っている。
ドンッ!
いかにも普通の高校生みたいな学生が望月の肩にぶつかる。
「いっってーな!邪魔じゃボケ!」
「す、すいません」
キレる望月。
怯えて頭を下げる普通の高校生。
そのまま小走りに逃げていく。
「もちづきっちゃん、さすがにかわいそーだべ」
「いーんだよ。ああいうどっちつかずの奴おれはきれーなの」
百池の同情する声にも、望月はどうでもいいとばかりに耳を貸さなかった。
ホームの先頭まで悠々と肩で風を切り歩いていく3人。
その風貌ですれ違う人みな避けて通る。
しかし、3人の中の一人百池はある違和感を感じた。
「なぁ、ここだけ人いなくねーか?」
ちょうどホームに電車がやってきて停車する。
「そうか?いつもこんなもんじゃねーのか?」
望月が答える。
電車のドアが開く。
その時、百池は思い出す。
「あ!もちづきっちゃん!そこの車両はまずい!」
「何言ってんだ?おい、宗田はいろうぜ」
「おう」
十条駅に向かう朝の京浜東北線には、日本人不良にとって天敵ともいえる集団がいたことを・・・・・・。
「あ!やべーにげ・・・・・・ぎゃああああああ!」
百池は、突然車両の中から聞こえてきた悲鳴に足がすくんだ。
何故なら、京浜東北線の1両目と2両目はその集団が常に占拠していたからだ。
「おらぁ!チョッパリはこの車両から出てけ。ここは俺たちチョーコー専用じゃ」
望月と宗田が電車の外に放り出される。
まるでぼろ雑巾のようだ。
(だ、だから言ったのに・・・・・・)
百池は、足をガタガタ震わせながら二人に駆け寄りながら、自分が被害にあわなくてよかったと内心安堵していたのだった。
昭和の東京の不良たちは、朝の京浜東北線やJR埼京線1両目と2両目には決して近づかなかった。
何故なら泣く子も黙る朝鮮高校の猛者たちが専用車両として占拠していたからだ。
もちろん、同じチョーコー生(女学生含む)が日本人の不良たちに襲われないように徒党を組むことで自衛する為でもあったのだが・・・・・・。
他の学校の不良たちが怯える中。
ある1校だけは、朝鮮高校に挑戦状を叩き込んできていた。
その高校の名は国士館。日本の右翼的高校生の集団である。