決して見られたくない何かを隠匿するかのように、小さな村の最奥に佇む廃社。
もはやただの苔石と化した石柱の狭間を、贄に選ばれし少女が歩いていく。その姿は朽ちてなお異様な存在感を放つ神殿の奥へと消えて行った。
真っ当な社としての権能などとうの昔に放逐され、神殿内には何も残されてはいない。最奥にて異様な存在感を放つ呪符がこれでもかと貼られたボロボロの御簾と、その奥で妖しく揺らめく赤き双眸の光を除いて。
「来たか、娘。疾くその純潔を我に捧げよ」
双眸の主は厳かにされどいやらしく、獲物を前に舌なめずりする蛇のように囁く。
「気色悪いことを言わないでくださる? 変態地縛疫病神様。少しでも変な気を起こそうものなら、
「す、すみません。儀式の始めはこう言わないといけない決まりなんです・・・・・・。ですので、どうか穢栖穢怒穢栖だけはご勘弁を・・・・・・」
心底退屈そうに
かつて川の氾濫に悩まされてきたこの村では、いつからか村の生娘を土地神へと捧げる生贄の儀が行われるようになった。治水の役目を
かつてはその権能を盾に好き放題していたであろう土地神も、今となっては地獄より魑魅魍魎を呼びおこす百鬼夜行がごとき秘術「穢栖穢怒穢栖」の前では稚児も同前であった。
両者は互いに何をするでもなく、無為に時だけが過ぎていき・・・・・・
「あ、もう夜の10時ですよ? 今年はもうお上がりください」
たとえ時の止まったの村にあっても、
「え、来年も
「ええ。この村に生娘なんて貴女
「はあ……世は多様性の時代ですのよ? たまには鍛冶屋の権蔵さんとかいかがです? 未成年じゃないから夜な夜な付き合ってくださいますわよ」
「いや、我、漢はちょっと……」
「随分と尻の穴の小さい神様でいらっしゃること・・・・・・。まあいいですわ。では、お先失礼しますわね」
「あ、お疲れ様でした・・・・・・」