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『俺、案外いけんじゃね?』3

 あまりのショックで狂弥が硬直していると、ユキナは洗面台にあるカミソリとシェービングクリームを差し出した。


「じゃあ、お風呂場で剃ってきて!」

「ちょっと、流石に困りますよ! 

 まだ水泳の授業もあるし、こんなのバレたら、チーム内の俺の威厳・・・・・・・・・が……」


 流石に躊躇する狂弥を見て、ユキナは思いついた様に自身のバッグを漁り始めた。

 そして、黒のビキニを取り出すと咥えて、谷間を狂弥に見せつけた。


「すね毛剃ってくれたら、私のこと撮らせてあ⭐︎げ⭐︎る♡」

「え!?」


 狂弥がユキナを見る目は、脳内の妄想も膨らみ、気付くとハートになっていた。

 ユキナから狂弥はカミソリとシェービングクリームを受け取ろうとした瞬間、我に帰る。


「はっ! 危なかった……」

「チッ!」


 狂弥は、舌打ちをして悔しそうに睨むユキナに恐怖を感じて、少し後退りをする。


 もう少しだったのに……。なんとか、すね毛を剃らせないと。


 ユキナは甘くて妖艶な表情を浮かべると、再び誘惑を始めた。


「プロのモデルの個人撮影だよぉ?こんなチャンスもう2度と来ないかも」


 狂弥は誘惑に思わず息を呑む。その反応を確認すると、ダメ押しでユキナは狂弥の耳元に移動した。


「撮影中、私は狂弥君の言いなりになるわ。

 どんなポーズだって撮らせてあげる♡」


 顔を真っ赤にさせると、狂弥は鼻を伸ばして目をトロンとさせる。


「だ⭐︎か⭐︎ら、剃ってきて!」


 頭から湯気を出しながら、ぽわぽわとした状態で狂弥は頷くと、カミソリとシェービングクリームを受け取って風呂場へ向かった。



 ユキナは、リビングの洗濯し終わった服が雑に詰み位重なって置かれたソファーに腰掛けた。

 そして、スマホを開いてSNSを眺めながら狂弥を待っていた。

 ふと、服の山を見ると、赤く妖艶なブラジャーに目が留まった。

「あ! これ私のじゃん! 愛凰に服貸すとこれだから……」


 10分程待っていると、ガチャッと風呂場のドアが開いた。音に気が付くと、ユキナはソファーから赤いブラジャーを取って、立ち上がった。

 狂弥が風呂場から出て、リビングを確認するとユキナが満面の笑みで立っている。


「お疲れ様!」


 ユキナは視線を下げて狂弥の足を確認すると、毛が一本も無く、ツルツルスベスベの足があった。


「凄く綺麗だよ! やっぱり、毛深い男よりスベスベの男の方が好きだな」

「そ、そうですか!」


 ユキナの言葉に頬を赤らめて照れると、髪をポリポリとく。


「よし! じゃあ早速、残りの撮影を済ませちゃおう!

 それが終わったら、おたのしみ・・・・・、が待ってるからね♡」


 狂弥は顔を真っ赤にさせると、ユキナをキラキラした瞳で見つめた。


「はい! よろしくお願いします!」



 再び、洗面台前へ二人は移動すると、ユキナは直ぐにジンバルとライトを装着して、カメラアングルを探り始めた。


「この辺とか凄く良さそう! 狂弥君、この辺に立ってくれる?」


 狂弥は指示通り、指差された場所で立つと、ユキナを確認する。


「うん! 良い感じ! カメラ位置はここで決定ね」


 ユキナはジンバルの三脚を展開して、洗面台の真横にスマホを設置させた。


「じゃあ、洗面台に手を付いて、鏡を見てくれる?」

「こうですか?」

「凄く良いよ!」

『パシャ!』


 撮れた写真をユキナが直ぐに確認すると、満足そうに笑みを浮かべた。


「こりゃ、絶対ファンが出来るね……」


 ユキナが手招きすると、狂弥は急いで写真を確認しに行った。


「凄ぇ……。これが家の洗面台で撮った写真かよ」


 写真の出来栄えは、照明の魔法マジックも相まって、まるで何処かのスタジオで撮影したかの様な重厚な雰囲気を醸し出していた。

 狂弥が写真に見惚れていると、ユキナが少し物足りなさそうに首を傾げる。


「んー。なんだかパンチが足りない感じ?

 この写真も良いけど、狂弥君のポテンシャルってこんなもんじゃない気がする……」

「え?」


 目を瞑って考え込むと、ユキナは閃いた様に目を見開いた。


「分かったわ! エロスが足りないのよ!」


 狂弥はユキナから飛び出した、思いがけないパワーワードに口をあんぐりと開ける。


「エロスっすか!?」

「そう! 男性の本能をくすぐる魅力がこの写真からだと足りないんだわ!」

「そ、そんなこと言っても……」

「大丈夫! 私に任せて!」


 ユキナはさっき服の山から持ってきた妖艶な赤いブラジャーを取り出すと、見せつける様に差し出した。


「これ、愛凰に貸してた私の勝負下着!」

「しょ、勝負下着ィッ!」

「そう! これを着けて撮影しよう!」


 狂弥の鼻からは、今自分が置かれた非日常的状況と勝負下着から連想する妄想から自然と鼻血が出ていた。


「あっ鼻血! ティッシュ、ティッシュ」


 洗面台からユキナはティッシュを数枚取ると、ブラジャーと共に狂弥に渡した。


「狂弥って、もう高校三年なのに結構ウブなんだね」


 狂弥は恥ずかしそうに俯くと、鼻血を拭いてブラジャーを受け取る。


「よし。じゃあ、ブラ着けちゃおう!

 ワンピース脱いで」」


 狂弥は言われた通り、ワンピースを脱ごうとすると、頭の中に一つの疑問が浮かび上がった。


 俺、一体何してんだ?



To Be Continued…

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