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雉四郎編04 お怒り学園長

 ドドリアッティとザボボンッティの情報開示により、下記の真実がキジシロッティに、もたらされたのであーーった!!



①性ウマシカ学園は総勢70億人の超ウルトラ・ハイパー・スーパー・マンモス学園であり、下は胎児から、上は135歳まで入学可能。


②宗教学園であり、童貞大邪神アンベレベを奉じている。


③紳士淑女の嗜みとして、互いの名前の語尾に“ッティ”をつけるのがお作法である。


④卒業式までに、校庭の柳の木の下で、白い着物の女を目撃すると永遠に結ばれるという伝説あり。



 ツッコミどころ満載であるが、しかしそうなんだから仕方がないと、キジシロッティは自分自身にそう言い聞かせる!


「それでお姉さま、これから性徒会による全園集会が行われザマス」


「全園集会? なによそれ」


「性徒会長がアテラに薫陶を与えてくださるのね」


「ええー。めんどくさ」


 お嬢様が面倒くさがりなのは定説である!


「でも、性徒会長はお姉さま好みのイケメソなんザンスよ?」


「……イケメソ」


 顔の良い男が大好物なキジシロッティがピクッと反応を示す。


「……ちなみにどんな感じの?」


「風の噂では、180センチ越えの細マッチョの24歳、趣味のデイトレードで年収は軽く1,000万以上あり、都内の100階建てのタワマンに住み、アラブの石油王と共同事業を始める忙しい毎日だけれど、趣味はサーフィンと海外旅行で、年の半分は世界を旅しているケーオーボーイらしいですのよ」


「なにそれ…それでイケメソだなんて、パーペキなチートじゃないの! ステキ!!」


 賢明なる読者諸君であれば、「なんで学生なのに、共同事業やって、年の半分も旅してんねん」とツッコんでおられることと思うが、これは畜生の畜生による畜生のための物語であり、畜生はどこまでいっても畜生なのであったので、キジシロッティは疑問にも思わなかったのであーーる!!


「じゃあ、さっそく全園集会に行くわ!!」



 チンポロコンポ〜ン♫



『3年ボイン組、キジシロッティ女史。キジシロッティ女史。子宮…間違えた。至急、学園長室にまでお越しくださりませ。至急、学園長室までお越しくださりやがりませ』



 チンポロマンポ〜ン♫



「な、なによ……今の」


「え? お姉さま、園内放送ですわよ」


「こんな知性の欠片もないチャイム音が……」


 しかし理不尽が服を着ている世界に何を言っても考えても無駄だと、キジシロッティは考えるのを止めて学園長室に向かったのであーーった!!




★★★




 学園長室に入ると、音楽室のモーツァルトの絵が飛び出して来たんではないかと勘違いするくらいに、ボリューミィにあふれる頭髪が眼に飛び込んできた。


「やってくれたな! キジシロッティ!!」


 グラサン越しにもわかる血走った眼をして、歯ぎしるゴッデムがそこにはいた!


「ゴッデム?! アンタが学園長?」


「ゴッデムではない! いまはゴッデムッティだッ!!」


 ボリューミィな頭を揺らしてゴッデムッティは叫ぶ!


「は? ゴッデムッティ?! なんでアンタも“ッティ”がついてんのよ! 何がどうなってんのよ、これ!!」


「知るか! 聞きたいのはこっちだ!! 貴様が転移装置を壊してしまったせいで、“異世界の方が正世界の方に上書き”されて、こんなチグハグなことになってしまったのだ!!」


「そんなバカなことあるわけないでしょうが!!」


「ネオペ小説(ネオページ小説)じゃあるあるだろう!! 理解しろ!! そもそも急に転移して、『あれ、これ異世界じゃね?』って順応しすぎる主人公が多すぎなんだ!! だから逆転移で異常事態が起きても順応しろ!! そうじゃないと話が進まん!!」


 言い合っていた両者は、フーと息を吐いて心を落ち着かせる。


「わかったわよ。で、何がどうなってるの? アタシは?」


「……ウム。貴様は、最近はやりの悪徳霊場の悪役令嬢になったようだな」


「悪役令嬢は知ってるけれど、“悪徳霊場”ってなによ!?」


「そのまんまの意味だ。墓売ビジネスで悪どく成り上がった成金の娘が貴様なのだ!」


「なによ! そのクソみたいな設定は!!」


「俺に文句を垂れるな! 貴様の欲望が際限なく現実化した暗黒異界だ! しかもこのままのルートで進むと、現実世界に戻ることは叶わないどころか、タヒぬことになるッ!!」


「……は? 死?」


 急に生々しくなったゴッデムッティの話に、キジシロッティはドン引きする。


「そうだ。正統派ヒロインがイケメソ男子が結ばれた際、某恋愛ゲームの如く、悪役令嬢の貴様にはタヒが訪れる…」


 キジシロッティの顔色が真っ青になる。


「死……それは一体ど、どんな?」


「正統派ヒロインの実家が警察であるが故、貴様の実家の悪徳霊場が摘発されたことによる……社会的タヒだ!! 残りの人生、鳥の餌を食って生きる事になる!! ついでに世界も終わる!!」


「鳥の餌って……動物園にいた時は常々そうだったわよ! だけれど、かといってそうなるのは望ましくないわ!!」


「ウム! なればイケメソ男子と懇意になり、愛の合体(18禁)を果たせば元の世界に戻る!!」


「……なんでよ?」


「愛の力に不可能はないからだッッッ!!!」


「な、なるほど! それは一理あるわね!」


 一理なんてあるわけないのだが、あいにくとここでツッコミを入れられる人物はいなかった!!


「行け! キジシロッティ!! 愛のために!!」


「行くわ! アタシ、愛のために!!」

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