◇前作、前々作を読まなくても解るあらすじ(読み飛ばしてきてる方、および最新話しか読まない方のため)◇
犬次郎、猿三郎、雉四郎の3匹は異世界へ!
キビダンゴ・ザ・ババアを倒して現代に戻ってきたのであーる!
しかーし、飼い犬となった犬次郎丸以外、猿三郎と雉四郎は保健所よって捕獲されてしまったのであっーた!
そんでもって、猿三郎は隔離島ワクワク動物園から脱出し、復讐を果たそうとしたにもかかわらず失敗して、醜態の数々を晒した挙句の果て、強制送還と相成ったのであーーる!!
★★★
そこは超沖縄より、遥か南東に位置する地図にも記されていない島!
通称、超日本のアルカトラズ島!
荒れ果てた岩地ばかりで平地がないせいと、嫁姑の口論が如く荒れ狂う海に阻まれ、入る事も出る事も難しい絶海の孤島!
口さがない者たちは、ここを“隔離島”とも呼ぶ!
その島にポツンとある施設!
岩肌を抉り天然の要塞と化した無骨でおどろおどろしい建物群!
堅牢な格子窓から、眼のイッてしまわれた軍人が「キルユー!」と叫びながらM16をぶっ放してもまるで違和感がないほど物々しい!
この建物は一体なんなのか!?
賢明なる読者諸君はもう気づいておられることだろう!!
──隔離島ワクワク動物園──
そう! お察しの通り! そこは人間が管理しきれない、最悪凶暴な極悪非道の動物を閉じ込める監獄…もとい、とっても“楽しい楽しい動物園”なのであーーった!!
★★★
と、つい手間を省略して前回と同じ出だしをしてしまったが、今度の主人公は雉四郎だ!!
本島からの強制送還以来、彼女は重犯罪者特別区画で悲嘆の日々を過ごしていた!!
「ああ、なんでアタシはこうも不幸なのかしら……」
床に突っ伏し、涙の跡で変色してシワシワになった離婚届(コピー)を雉四郎は見やる!
それは異世界で結婚したはずのグルコサミン・大爆嵐関との離婚届だった!!
前作も前前作を読んでない方は流し読みして貰えればいい部分だが、通信もままならぬ、異世界との超々遠距離恋愛が上手くいくはずもなく、彼女は破局を迎えていたのであーーった!
しかも結婚前は2度に渡る大失恋! 異種族のチンパンジーや人間といった愛する男たちを不幸にして事故死(?)で失うという経験もしていたのだ!
悲劇! まさに悲劇!! まさしく悲劇!!!
まさに彼女は負のスパイラル、不幸のズ〇ドコ節に陥っていたのであーーる!
バターン!
と、扉が勢い良く開く!
「ちょいと、雉四郎! ちゃんと部屋を掃除しとけって言ったザマスショ!」
脳味噌が目玉より小さいダチョウのドドリアーンが、長いマツゲをバッサバサさせながらのたまう。
「そーよ! 言いつけも守れんダメ鳥なのね!」
キウイフルーツみたいなキーウィのザボボンが、豊満なワガママボディをユサユサさせながらのたまう。
「ご、ごめんなさい……お姉さま」
雉四郎は、理不尽に振るわれる暴力……ザボボンのカニバサミによる転ばせからの、ドドリアーンの全体重を乗せた毒針エルボーを必死に耐える!
「フン! 身に沁みて解ったのなら、さっさとするんザマスね! アテクシらは舞踏会に行くんザマスからね!」
「そーよね! アテラが帰ってきた時に掃除が終わってなかったら大変なのね!」
雉四郎は心の中で舌打つ。
なにが舞踏会だ、と。
彼女らがやろうとしているのは単なる合コンだ。イケメソ鳥との有償婚活パーティーに過ぎない(しかも支払いに使うのは、乾燥ミルワームやヒマワリのタネだ)。
「……いま鼻で笑ったザマスね?」
「そ、そんなこと…」
「スズメとハトの中間生物であり、その希少価値ゆえに世界三大珍味に数えられ、人間どもの密猟の対象にされている鳥類の癖に生意気なのよね!」
「キャアアッ!」
どこぞのオランウータンもどきに吹き込まれた、嘘八百の適当すぎる知識でイチャモンをつけられ、雉四郎はドドリアーンのロメロ・スペシャル……つまりは吊り天井固めを喰らう!
ようやく解放された雉四郎は、ドサッとコンクリ打ちっぱなしの地面に転がされる。
「これに懲りて、自分の立場ってモンをよくよく理解するザンスね!」
ドドリアーンとザボボンは高笑いをあげて、部屋を出て行ってしまった!
サメザメと泣き、雉四郎は血塗れた自分の口元を拭う。
「…【キュア】」
そして雉四郎は自らを癒やすべく魔法を使った!
こりゃびっくら仰天! 作者も忘れていたが、これは元々ファンタジー小説なのであーる!
そういや以前、異世界で回復魔法をゲットしたのだ!
まったく小説内にでてこないんでスッカリサッパリ忘れていたが、彼女は回復魔法のエキスパートだったような気がする!!
そしてみるみるうちに雉四郎の傷は癒えていく!
「オエェー!」
そして彼女は吐いた!
なぜか!?
それは魔法を使う時の代償と言いたいところだが、異世界でコイツをいかがわしい店で使う際、まあ簡単に言うとマムシドリンクのような精力剤として使っていたため、ついその時の状況が連想されて吐き気を催すようになってしまったのであーった!
悲劇! まさに悲劇!! まさしく悲劇!!!
「……別に悲劇じゃないわよ。女は強く生きてこそ、よ。オエップ」
雉四郎はヨロヨロと立ち上がる。
「でも、こんな人生まっぴらゴメンよ。こんなクソ面白くもない鳥小屋でこき使われ、年老いて死んでいくなんて、アタシらしくないんだからして!!!」
複雑な格子状のガラス天蓋を睨みつけ、雉四郎は拳を震わせる(鳥類なので拳はないので、翼を拳のようにしたと思ってくれてよい)!
「神を……ゴッデムに願うしかないわ!!」
もう嫌な予感しかしないわけだが、物語を進めるには致し方ない!!
次回、雉四郎がゴッデムを呼ぶぅッッッ!!!!?