こうして、畜生どもは再び異世界へとやって来たのであった!
異世界の青空の下、ハンモックで横になっている猿三郎は、草原で遊んでいるサクラと子供を見やる。
怒りと復讐心に蝕まれていた男とは同一人物とは思えぬほど、猿三郎の瞳は澄んでおり、その表情は安らぎに満ちていた。
ランキングから転落し、コメントも激減し、公募に落ちたような作者でも生きていてもいい……そんな状況すらも、受け入れられるような優しさに満ち溢れていた。
思えば、今までなんと自分本位に生きてきてしまったのか。
後悔してもしきれない。
だからこそ、彼は決意した。
これからは人の為、世の為、愛する宇宙船・地球号(ここは異世界だがそんなのは小さな話だろう)の為に生きていくことを……
今は地元で農作業を手伝うことで賃金を得て、地方公務員試験を受ける準備をしている。
これに受かったら地元の区役所にでも就職し、郊外の一軒家を買い(もちローンで)、平凡ながらも慎ましく生きていくつもりだ。
「あなたー」
サクラが手を振り、猿三郎は振り返す。
ああ。そういえば、副題にあった巨乳美人教師サクラだが、そのAVタイトルに出てくるような肩書に漏れず、夜に激しく淫れることは猿三郎しか知り得ないことである。
見た目が清純派で、エチエチボディで、スケベッティでだなんて、小説や漫画にしか出てこない童貞男子の妄想かもしれないが、本当のエロッティは目の前にあるのだ。
まあ、平たく言えば、うらやましけしからんことに、その恩恵を充分に猿三郎は味わった。
超日本猿と人間だなんてアブノーマルだが、まあ、大変なHENTAI国である超日本にとっては、常識の範疇どころかご褒美に違いない。
そして、超日本猿と人間は果たして子作りできるのか?
猿三郎が異世界で獲得した、新たな武技四十八手を駆使し、絶頂の絶頂を極め、子が生まれてしまったのだから、つまり結論から言わせてもらえばできたのだ!
そんなわけあるかですって?
異世界の常識であればあるのだ!
文句があるのならば、異世界に行ってから聞きましょう! 話はそれからです!
これで無事にタイトルの副題の回収は終えたが、なぜ肝心のエチエチな描写を省略するのかといえば、そんな性的な描写をしないことで、女性読者からの好感度を上げたいという作者の思惑からだ。
だから、畜生との営みは生命の創造として、感動の叙情詩として、ディテールを事細かに表現しきったが、対人間のエチエチは描写しない! それが紳士的な芸術だからであーーる!!
んなわけであるからして、猿三郎とサクラのエチエチな部分は、読者の豊かな想像に委ねる運びとなったのであーる!!
話を戻そう!
サクラがやってくる。その豊かな乳房に、猿三郎のミニチュア版のベイビーがいた。
これまたうらやまけしからんことに、下乳を揉んで、鼻の下を伸ばしている猿三郎くりそつの顔だ!
これこそ、猿三郎とサクラの愛の結晶だ!!
「……ワシの愛する家族たちよ」
猿三郎は、天使のように優しく微笑む。
一次公募にすら落ちた作者でも、再び小説を書いてもいいのだと許されるような塩梅だ。
外見は醜悪極まる超日本猿でも、我が子は愛おし……
いや、無理だ。
無理無理無理。
ありえん。
ありえんから。
なんで赤ん坊の時から、こんなスケベ面してるのよ?
赤子だからシワシワなのは万歩譲って仕方ないとして、なんでこんな子泣き爺のような顔をしているのよ?
しかも泣き声も野太くて、ガラガラ声で、可愛い要素がまったくなーい!
そして由々しきことに、サクラの要素が何1つない!!
本当に猿三郎の遺伝子100%なんじゃねぇかと疑いたくなるほど、超日本猿要素しかない!!
そうだ! 庇護欲がまったく湧かない!!
守りたいって気がまったく生じない!!
できるなら、今すぐにでも肥溜めに叩き込みたい!
嗚呼、子ガチャに失敗してしまった。
嗚呼、なかったことにしたい。
嗚呼、もう1回やり直したい。
……猿三郎はそう思ったが、そんなことを口にした瞬間、サクラによって半殺しにされる未来しか見えなかった。
だからこそ、極力、我が子を視界に入れず、サクラだけを見やった。
「サクラ。愛しちょるぞ♡」
「私もです。猿三郎サマ♡」
ヒョイとスケベな猿顔が横から出てくる。
うざい。
視界に入るな。
「父ちゃん、父ちゃん!」
うるさい。
話しかけるな。
「ゲフッー!」ブヒーッ!
信じられないことに、子供はゲップとオナラを同時に吹き出した!!!
あまりの臭気に、爽やかな草原がボットン便所に上書きして幻視される!!!
(目に染みるぅ!! まるで毒ガスじゃぁ! おげー! たまらん!! このクソガキャー! なに食っとんじゃー!? 母乳以外に何か食っとる違いねぇじゃけゃぁ!? おげーー!!)
猿三郎もサクラも、あまりのクサさに涙を流すが、いい雰囲気で泣きましたって感じに、優しく寄り添い合う。
「ゲフッー!」ブヒーッ!
子供はまたゲップとオナラをした!
「「おげー!!」」
★★★
さて、いきなり話がとんでしまったので、読者も混乱の極みであろう!
いや、ここまで読んで下さった懸命なる読者の皆様ならば、こんなカオスも受け入れて下さるかも知れない!
しかーし、そんな読者様の温情に甘えるべきではないと判断した作者は、きっと「もういいよ…」と思われている読者の為にも、何があったかをここで説明しておかねばなるまい!!
そう! こうして、畜生どもは再び異世界へとやって来たのであった(2回目)!
それでまあ、レベルアップを図り、アイテムを集め、伝説の武器を集めるとか、まあ、なんやかんやあったのであーる!
なんやかんやあって、ゴリッポとベンザーは、異世界で復活していた悪の権化たるキビダンゴ・ザ・ババア&塵太郎との戦いによって、挙げ句の果てに対消滅してしまった!
どうせまた復活するだろうが、当面の平和は守られたのであーる!
つまり、ゴリッポを造った宇宙人と、ベンザーを生み出した科学者は、この異世界平和のために彼らを生み出したような気がしないでもない! いい話だった! ああ、おめでたい!
なんやかんやあって、雉四郎は回復系力士ことグルコサミン・大爆嵐関(前作に出てくるがまあ知る必要もない主要メンバーだ)と電撃入籍を果たした!
お互い回復魔法が使えるという共通点がポイントだったようだ!
なぜ超遠距離以上の離れ離れで、そんなろくでもない共通点しかない両者の恋が盛り上がったのか!?
つまりこれは織姫&彦星現象であり、異世界という隔たりがあるからこそ、会えない時の寂しさがより愛を燃え上がらせ、とても常識的では考えられない結果をもたらす…それが電撃入籍の秘密である(雉四郎が2度に渡る失恋に心を痛めていたことも大きい)!
これで世界の秘密のひとつが解き明かされた! ああ、おめでたい!
なんやかんやあって、猿三郎はスライムを【疾風怒濤波】で薙ぎ倒して、小銭を稼ぎに稼ぎ、そして告白し、見事にサクラと結婚したというわけだ!!
謎はすべて解決した!!
ああ、おめでたい!!
★★★
しかし、そんな平穏な毎日が送れるはずもない……
バチバチッ!
突如として周囲の空間が歪み、赤と青と巨大なオーラがマグマのごとく奔出する!
何が起きたのか!?
これは偶然アルファネムス効果を生み、ハードリングチャンバレー現象が引き起こされ、観点相互作用反応が生じ、内閣総理大臣賞的な連鎖的に多角化式婉曲類型と思わしき多段次元のマシュマロ渦がまさにテラ時空と地球時空との空間の橋渡しをする。
まあ、平たく言えば、異世界に何かがやってきたというわけであーーる!!
そういや、異世界に自分たちがいる場合って、他の世界(例えば元の世界である地球側)の方が異世界になるんじゃね?
そんな疑問を残しつつ、次回に続く!
つまり、歴史は繰り返されるのだ──