レベルアップした俺は、銭太郎と裏本太郎を一撃で始末する。
「お前らも始末したかったんだがな」
「なんじゃとー!」「ひどいわ!」
ふむ。まあ、弾除けには使えるか。
猿三郎も雉四郎もまだ生かしといてやってもいいな。始末ならいつでもできる。
「怪我の治療が必要でゴワスな」
「そうだな。雉四郎は魔法を使う度に嘔吐するから困る」
「オイドンに任せてつかあさい!」
俺たちが喋ってると、猿三郎と雉四郎は目を丸くする。
「なんだ?」
「だ、誰じゃーい!」「この人、誰よぉ!?」
「本当にいちいちウルサイ奴らだ。新しい仲間に決まっているだろう」
「な、仲間じゃって? 一体なにを…」
「どう見ても力士だけど…世界観が…」
「なにが世界観だ。偉そうなことを言うな。貴様らこそ動物園か、背徳の街がお似合いなくせに」
「誰がチンパンじゃー!」「誰がトルコ嬢よ!」
誰もそこまで言ってない。
「ジッとしているでゴワス。回復魔法を使うでゴワスよ」
彼は
「は? …どう見てもパワーファイターなんですけど」
「何を言っている。彼はこの世界でも数少ない“回復系力士”だ。名をグルコサミンという」
「なんじゃそりゃ! 膝関節痛に効きそうな名前じゃ!」
「グルコサミン・大爆嵐関でゴワス!!」
「ちょっと! 色々おかしいでしょ! 大爆嵐関の方がらしい名前じゃないの!」
「…いちいちウルサイ奴らだ。黙って受け入れられないのか」
唐突に仲間になるイベントなんてあるあるだろうに。
「受け入れられるかーい!」
「受け入れろ。俺も生まれて気づいたら、人間なんかの家族にさせられていたわけだ」
「そりゃペットショップで買わわれたからじゃろがい!」
「ふざけるな。
主従関係で言えば、俺が主だった。そこは間違いない。
「そんな話は今はどうでもいい。とりあえずコイツらを回復してやってくれ」
「了解でゴワス!」
グルコサミンは中腰に構える。
「は? 回復魔法を使うんじゃろ? なんでそんな…」
「動かないでくっさい!」
「は?」
「ドスコーーイッ!!」
バチコーンッ!!!
グルコサミンの強烈な張り手が、猿三郎の顔面を打ち抜く!
猿三郎は縦回転をしつつ、大木の幹に激突した!
「き、キャアア! な、なんで攻撃するのよ!?」
「攻撃じゃない。よく見てみろ」
「な、なんじゃあ!? …はおッ?! こ、これは? だ、ダメージがないじゃと?!」
猿三郎が起き上がる。そして自分の身体を見て驚いていた。
もはや説明するまでもない。回復したんだろう。
「がぁー! し、しかし、痛い! 張り手の痛みが半端なーい!! 痛すぎるぅッッッ!!!」
ゴロゴロと、その場でのたうち回る猿三郎。
「そうだ。グルコサミンは世界有数の回復力士だ。敵に受けたダメージを上回るダメージを与えることで回復させるのだ」
「エッ!? と、ということは…」
「次は雉四郎を回復させてくれ」
「解りましたでゴワス!」
敬礼で応えるグルコサミン。実に従順なヤツだ。
「い、イヤァ! ち、近寄らないで…」
「ハフハフ! 優しくする、優しくするでゴワスゥッ!!」
「キャアアアアッ!!」
「まったく持つべきは使える