ゴッデムのゴッデムパワーによって、俺たち3匹は異世界に異動することになる。
ああ、なにを言っているか解らんと思うが、あのゴッデムポーズとやらを俺たちがとることで、よく解らん不思議現象が起きてワープしたのだ。
ゴッデムの説明だと、偶然アルファネムス効果を生み、ハードリングチャンバレー現象が引き起こされ、観点相互作用反応が生じ、内閣総理大臣賞的な連鎖的に多角化式婉曲類型と思わしき多段次元のマシュマロ渦がまさにテラ時空と地球時空との空間の橋渡しをしている…とかなんとか、云々と言っていたが、やはりまったく意味がわからなかった。
まあ、こんな小難しい話は動物には関係ない話だろう。どうでもいい。
とりあえずは異世界に来れたわけだから何の問題もない。
しかし、異動した先で動物のままじゃ不便だろうからと、オプションで人間のようにしてもらった。
正直、そんなのいらなかったんだが半ば強制的にやられたのだ。
そして、新たなる大地に降り立つ。
「あんまり俺たちのいた世界と変わらんな」
山も川も森もある。遠くには人里も見えた。
「ちょ、ちょっと犬次郎」
「なんだ?」
「同族になったせいか…ちょっと」
俺も雉四郎も2本足で立っている。
ん? 雉四郎は元々そうだったか。だが、飛べなくなったのは微妙なんじゃないだろうか。
「ちょっとなんだ?」
雉四郎はなんだかモジモジとしている。
「いや、ほら、アタシら素っ裸で…」
「それが何の問題がある? 元々、裸だったろう」
「そりゃそうなんだけど…」
なんで雉四郎は俺の下半身を凝視してるんだ?
そんなに珍しいものでもないだろうに。四足だった時は、後ろから肛門ごと見れたろう。
「お、おお! 人間だ! 人間の姿になったわい!」
猿三郎が興奮している。
だが、猿の時と何が変わったのかさっぱり解らない。
「さて、これで塵太郎から…キビダンゴの呪いは解けたハズだ。新しい世界で自由に生きるとしよう。じゃあな」
ようやく、このクズカスの畜生らから離れることができる。
「ちょ、ちょっと待てよ。まったく知らねぇ世界じゃろ! ここ! 危険じゃろが!」
「そ、そうよ! 安全が確認されるまでは一緒に居た方がいいわ!」
「…ふむ。一理あるか?」
何か企んでいる気がしなくなくもないが……
─猿三郎視点─
(ゲヘヘ。まさか雉四郎がこんな良いスケになるとはなぁ〜。コレは一発ヤラせてもらうまでは離れるわけねぇーじゃろがい!!)
─雉四郎視点─
(ウフフ。まさか犬次郎が同族だとこんなイケメンだったなんて…あの立派な…鼻血もんだわ! もったいないわ! これは一発ヤッてから別れてもいいわね!)
「……まあいい。では、人里までは共に行動しよう」
「…ねぇ、猿三郎は別に一緒じゃなくて平気なんじゃない?」
「そんなわけないじゃろ。独りにされちゃ心細いわーい」
ニタニタと笑う2匹…いや、2人か。
ま、どうでもいい。街まで着けばさよならだ。
──
街についた。
それも南蛮風のだ。
「キャアアアッ!」「ウアアアアッ!」
まったく騒がしいな。本当に人間というのは叫ぶのが好きだ。
「なんだ? 俺たちを見て騒いでいるようだが…」
「そりゃアタシたち服着てないし!」
「このままじゃ、ワシの大嫌いな青服が呼ばれるぞ!」
猿三郎はいつもと変わらんのに、何を慌ててるんだ。
「堂々としていれば問題ない」
「そういう問題じゃないわーい!」
コイツもうるさいな。
「しかし、我々は元動物だ。服を買う金はない」
「ここは神じゃ! 神に助けを求めるんじゃい!」
「そ、そうね! いい考えよ! ゴッデムを喚びましょう!」
「……」
チッ。面倒だが仕方ないか。騒がれるのも不快だしな。
「「「ゴッデムッ!!!」」」
俺たち3匹はゴッデムポーズを取った。
──
一方、その頃……
用水路からドンブラコと流れてきた塵太郎の遺骸を見やり、プルプルと怒りに震えている老婆がいた。
「わ、ワタスが…ワタスが愛情を込めた塵芥から生み出した最高傑作、塵太郎がァァァァッ!!」
癇癪を起こしたババアのパゥワーによって、芝刈りをしていた量産型ジジイたちが一瞬にして蒸発する!
「許さーん! あの
ババアの怒りの叫びは、国中に響き渡ったという──