「すべて、すべてすべてすべてすべてすべて――――ご主人さまのためです」
そう告げると、管狐はにんまりと微笑んだ。
雑居ビルは血で濡れていた。
死体の数は十を下らない。
それぞれスキンヘッド、高そうなスーツ、ドスを持つ者もいれば、拳銃を握ったまま……腹を食い破られている者もいる。
ぜんぶ、死んでいる。
無数の死体の上に、俺は立っている。
俺と管狐は、立っている。
「ご主人さまぁ……♥」
漏らす声は甘く。
「どうか、どうか管狐を……♥」
揺れる瞳は蠱惑的な金色。
「褒めて、なでなで♥ してくださいなぁ……♥」
長く黒い髪。
返り血に濡れた、黒の着物。
白い頬を血で染めた、狐耳の生えた、十二歳程度の少女。
管狐。
俺の、式神。
俺の、下僕。
そして、俺の……
「ごめん、ここまでやれって、俺絶対に言ってない」
最大の、悩みの種だ。
「(´・ω・`)」
そんな顔してもダメ。