皇宮の中核、
澄み渡って透明な晴天の下、集う群臣の前では、いま声高らかに聖旨が読み上げられていた。
「皇太后の縁者、
続いて、金の皇后印がその手に授けられる。
それを満足そうに見届けると、不意に皇帝が玉座を立った。
異例のことだ。
群臣は刹那、戸惑うようにどよめいたが、波紋のように広がるそのさんざめきの中を、皇帝は皇后のもとへと歩み寄った。
皇后の手を取り、立ち上がらせる。
「子渼」
今上帝
「ほんとうに顔に出るやつだな、お前は」
そう言って、皇后の仏頂面をからかい、くつくつ、と、ひそやかに喉を鳴らした。
「
面白がるように口角を持ち上げると、そう囁く。
「だって、こんなとんでもない茶番……」
あきれてしまう、と、新皇后である柳子渼は溜め息を吐き、夫となる皇帝へ、
皇帝はまわりの群臣に悟られぬよう、くすん、と、肩を竦め、皇后の――子渼の――耳許に再び口を寄せる。
「こら。そう、
またすこし悪戯っぽく笑いながら、こそ、と、言った。その様も、あるいは遠く眺める群臣には、皇帝と皇后の仲睦まじい姿に見えるのだろうか。
「っ、新床って……また、するんですか」
「それはそうだろう。我らはめでたく正式な夫婦になったのだし。――だめか?」
「だめ……では、ない、です、けど」
子渼はうつむきがちになって、消え入りそうな小声で言う。
「その、て、手加減を……あんまりされると、わ、私……死んでしまいそうになりますから」
きもちよくて、と、明暁に求婚された直後の
「ははっ、なんだそれは。――努めはするが、そんなに可愛く
笑みを深めた明暁のからかい文句に、子渼はちいさく眉を
そのまま小声で、死ね、と、もう口癖になってしまっている雑言を吐いた――……が、それらすべての遣り取りもまたきっと、離れて見守る百官その他には、仲睦まじい様子に見えたことだろう。
「そういえば、そのことばがはじまりだったな」
しみじみとつぶやきつつ目を細めた明暁は、子渼のほうへと手を伸ばし、頬をするりと撫でる。
「好きだ、子渼」
唐突に口にすると、そのまま顔を近づけ、紅蓋頭の陰でそっと子渼にくちづけた。
なんだ急にこのひとは、と、そう思った子渼は、一瞬また文句を言いかけた。が、相手のやさしい鳶色の眸に間近から見詰められて、ぐ、と、それを呑み込み、頬を染める。
「……お慕いしております、陛下」
「うん。――それから?」
「…………すきです、明暁」
ぼそ、と、つぶやくと、相手はいかにも嬉しそうにくちびるをゆるませた。
――後の世に名君と仰がれる