それから数か月間、俺はひたすら色んなクエストを消化していった。
いつものセカンドビーチの見回りからのデビルシャーク来襲っ!
セカンドの森のダークウルフ討伐等々っ!
合間合間に休憩期間がてら採取クエでラウディ山を行き来などもした。
何でも水魔龍エウム用に大量の回復系アイテムがいるらしく、それを大量生産する為だ。
なので、採取系及び加工が得意な冒険者総出で協力して採取、加工のライン工作業を俺達はやった。
(その流れ作業っぷりに、昔やったバイトの弁当詰めライン工を思い出がフラッシュバックしちまったぜ……へへっ!)
と、話をクエストに戻すが、最近ではデビルシャークと同時にデビルキャンサーやデビルクラーケンなどもセカンドビーチに出没するようになって、大変だった記憶がある。
(……やはりこれは水魔龍エウムの復活が近い証拠なんだろうか?)
実際何人かケガ人も出たし、その中には水魔龍エウム討伐メンバーもいた。
それくらいの死闘が繰り広げられたのだ……。
(強めの手下との戦闘でこれだと、一体水魔龍エウムとの戦闘はどれくらいの被害が出るのだろうか……?)
小心者の俺としては心配でならなかった。
……そして後日、ついに運命の日が訪れる!
深夜に満月の光が輝く中、静かにセカンドビーチに波が押し寄せる。
浜辺を見ると所々特殊な金属で補強された頑丈そうな軍用船が月の光にうっすらと照らされていた。
ただ一隻のそれは波に揺られ、静かに揺らめいている。
そんな最中、俺達は色んな事前打ち合わせの最終確認をしていく。
「……では打ち合わせ通り、隊は3隊に分けるので船に乗ったら各自持ち場につけ!」
「はい!」
「おい! ハイポーションなどアイテムも忘れるなよ?」
「荷物は各自分かりやすい用に印をつけとけよ?」
更には、お互いチェックしあうようにワイワイ言いながら情報共有チェックしていく。
「良し! では行くぞっ! 決戦の時が来た! 皆それぞれ船に乗り出発せよっ!」
「おーっ!」
色んな確認を終えギルド長の激と共に、討伐メンバーは意思を統一するように声を高らかに上げ軍用船に乗り込んでいく!
俺も然りだ。
その時俺はふと、先頭の船首像を見る。
それは女神アルテナ様を模してあり、握りこぶしを掲げ勝利のガッツポーズを取っているご様子。
だからか、それを見たギルドメン達は悪ふざけなのか共感してるのか船内でガッツポーズを取って騒いでいたりする。
「うおーっ! 俺達は生きて帰って来るぞー!」
「帰ってカミさんとイチャコラするんじゃー!」
ギルドメン達は誰かのおちゃらけ表明に大爆笑している。
当然ウーメンもいますが、それを見て苦笑している模様……。
で、俺達もそれを見て控えめなガッツポーズを取る!
(やっぱ気合って大事だしね!)
ということで、20人は余裕で乗れるであろう軍用船は帆を上げセカンドビーチを
それからほどなくし、雑談している最中、潮風が少し強くなってくる……!
(そろそろ頃合いだな)
「……良し!
「うい!」
「ロープを引っ張れー!」
「おーっ! ……せいっせいっ!」
俺達はそれぞれ持ち場につき、元気よく声を揃え、ロープを引っ張り帆を立てていく。
……なお、俺達搭乗人数は全部で21人で構成されている。
ギルド長はそれを7人1チームの3組に分けている。
1組目の内訳編成は盾2・近距離武器アタッカー1・遠距離武器アタッカー1・ヒーラー2・魔法アタッカー1となっている。
このチームの役割は水魔龍エウム本体殲滅で、ギルド長、俺、ウィンフィルさん他含むメンバーで構成されている。
問題は水魔龍エウムが住む場所には大型船ではたどり着けないこと。
であるからして、各自船内に置いている手漕ぎの小型船に乗り換える模様。
(ってまじかよ……)
2組目は本体殲滅PTに同行し、本体が無事たどり着けるようにするオトリ役。
なので基本、軍用船での立ち回りになるが、状況によって臨機応変に立ち回るとのこと。
色々大変だろうけど彼らには頑張って欲しいところ。
3組目はレノア他で構成されているダークマギデ族救出メンバーらしい。
このメンツは途中まで俺達に同行し、水魔龍エウムが封印されている
で、レノアがこのメンバーに選ばれている理由は、機転の利く召喚師の腕と宝物庫の場所を熟知しているからとのことで、成程であった。
ちな、俺の船内での役目は遠距離武器アタッカー兼ポーション配布係。
(まあ、俺の礼のリュック。無限にアイテム入れれるから当然そうなるわな)
と、いうことで俺のリュックには何百個という回復系のアイテムがみっちり中に入っている。
戦闘経験を積ませたのは全てはこの時の為なんだろうなと……。
「……良し! もういいだろう。後は各自持ち場に付けっ!」
「
こうしてギルド長の声と共に、真っすぐに立った帆は風を受け、スピードを上げた我らが巨大軍用船は水魔龍エウムが封印されている祠を目指して進んでいくのであった。