俺達は海に向かって急ぎ足でかけていく!
海の中にはギルド長含む何人かがサーフィン板の上に乗り、驚いた事にめっちゃ器用にデビルシャークと戦っていたのだ!
「ウィンフィル! すまんが負傷した……。手当を頼むっ!」
数人が海辺から砂浜によろつきながら戻って来るのが見えた。
よく見ると彼らの肩や足は、デビルシャークの名前通り生々しい歯形の後や食いちぎられた跡が……⁉
(……ひ、ひええっ! し、
「フェニックスよ! 我が声に応じ貴方の再生の火の力、我に与えたまえ!」
ウィンフィルさんの声に応じ、何やら温かい炎が彼らの負傷した場所を包んでいく⁉
すると不思議な事に食いちぎられた場所や血がピタリと止まり、みるみる再生していく?
(す、スゲー! ま、まじかっ? フェニックスの力を借りれるなんて……)
おそらくウィンフィルさんは召喚士か何らかの高位司祭と俺は予想している。
(い、いやっ、感心してる場合じゃねーよな! ギルドの皆が戦っているんだ! ……俺も、出来る
俺は海の家に置いていたリュックをダッシュで取りにいき、全速力で海際に戻る!
サメに丸のみされない限りウィンフィルさんの超再生魔法による強力なバックアップがあるので、安心して戦えそうだしね!
俺は急いでリュツクから取り出した風揺らぎの服とマントを羽織り、風揺らぎのライトボーガンを構えながら手早く周りを見渡す。
(えっと、一番戦闘が激しそうなところは……と?)
「杉尾君っ、ここだ!」
「は、はいっ!」
俺はギルド長の声がする場所に急いで向かう!
そこには数匹のデビルシャークに囲まれながらも、無傷でサーフィン板に立ちながら器用に戦闘しているギルド長の姿があった。
水上には何匹のデビルシャークの死体が浮かび上がっており、その真っ赤な血が海を染めている⁉
正直、グ、グロイ。
デビルシャーク、名前の通り、頭部に一本の鋭利な黒い角を持ち、体長は2メートルくらいの巨体を持つ海の荒くれモンスターだ。
(とりあえず、海に引きずり込まれないようにしないとな。引きずり込まれたら、間違いなく死ぬ! あと、だからこそ迷ってる場合じゃねーよな)
という事で、俺は素早くリュックから矢を取り出し、ライトボーガンに
(よしっ! これでいつでも矢を撃てるな)
俺は
その放たれた矢は風の力を
(次っ! まだ戦闘は終わってない!)
だから、俺は機械作業で矢を素早くライトボーガンに添える。
「いい判断だ!」
ギルド長は俺を褒めながら、デビルシャークの
更にはそのデビルシャークに向け手のひらをかざすと、不思議な力でサメは真っ二つになる!
水も割けた事から、おそらく風の魔法かなんかで倒したのだろう。
が、その時、水中からひと際大きいデビルシャークが飛び上がり鋭い牙と角でギルド長に襲い掛かる!
「あ、危ないっ!」
俺は咄嗟の判断で、瞬時にそのデビルシャークに向けてトリガーを引く!
……後々考えると、その射程ラインはヘタするとギルド長にも当たっていたかもしれない。
結果、狙いは俺の思っている通り、デビルシャークの胴に突き刺さる!
その為、不幸にもデビルシャークの飛び上がる軌道は変わり、ギルド長の目の前で飛び上がる事に!
(あ、危ないっ!)
俺はそう思うと、同時に咄嗟に矢をライトボーガンに添える!
(お、落ち着けっ! 俺っ。様子を見ながら、慎重に慎重に撃つんだ……)
「お、おおおっ!」
その時、雄々しいまでのギルド長の気合の入った声が海辺に
と、同時にギルド長は
(あ、あのギルド長のサーフィンボードっ! 武器兼用かよ⁈)
そういえば、折れなく軽さがある特殊な魔法合金で作ってどーのとか言ってた記憶が……。
(そ、それはさておき、という事は残りの一匹に的を絞ればいいな!)
そんな事を考えていると、着地でやや体制が崩れたのを見計らったのか残りの一匹がギルド長を襲う!
「させるかっ!」
俺は静かに狙いを定めていたデビルシャークに向け、急いでトリガーを引く!
それはうなりを上げ、何とか俺の思っている通り、デビルシャークの胴に突き刺さる!
「いい援護だ!」
ギルド長は気合と共に、さっきと同じ要領で難なくデビルシャークを真っ二つにする!
……程なくし、ギルド長は俺のいる場所に力強く歩いて来る。
(あ、あの戦闘後にこんな余裕な歩き方して来るなんて……す、スゲースタミナしてんなこの人……)
……ホント、サーフィンボード片手に海パン姿じゃなかったら決まっていたんですけどね。
(これじゃ、光のパラディンもとい、光のチャラ男だよ……)
「凄いじゃないか杉尾君! その射撃の腕は何処で鍛えたんだね?」
(いや、皆の盾として敢えて海上で戦ってた貴方には負けますけどね……)
実際ギルド長がそこにいなかったら、俺は安心して射撃出来なかったし。
下手したら、俺だと海に引きずり込まれて死んでいたかもしれん。
「ま、まあ前線でギルド長達が戦っていてくれたからですね。射撃はPCのゲームで鍛えていたからですね」
いや、ホントゲームしてて良かったよ、俺。
(Bpexとかでね。ちなみにランクはマスターです、ハイ……)
それにファンタジーの知識もここの世界で生きてるしさあ。
「杉尾君見ていたけど凄いじゃない!」
「あんた、毎日サーフィンだけしているチャラ男じゃなかったんだな?」
「ステキ!」
ウィンフィルさんやギルドメンバー、それに一般人の皆さんが俺とギルド長の周りにわっと群がって来る。
(正直、嬉しい。けど、俺は褒められ慣れていないので、なんかこそばゆんだよな……)
その後、俺達はサメの死体処理など雑務を終え、その日一日は監視を含めのんびり過ごすことになったのだ。