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第8話 『殲滅』

現在闇乃たち占領されている『angel』から逃れてきた少数(4名)は本部を取り戻すための作戦会議を終え、前衛部隊が本部へ移動していた。


『それじゃあ俺たち援護部隊は車の中からサポートする。お前ら前衛部隊はとにかく頂上を目指せ、そして本部の建物内にいるすべての敵勢力を殲滅しろ。わかったな!?』


「そんぐらいわかってるわぁ。」


「わかってます!殲滅ですね!」


(本当に大丈夫か?)


そのまま2人が少し走り続けているとangel本部に辿り着いた。エントランスを見るとすでに完全に制圧されており、SPYと思われる10名ほどの部隊が見張りをしていた。


「どうします?鍵山さん。」


「あぁ?そんなの正面突破に決まっているだろうガァッ!」


「やっぱりそれが一番手っ取り早いですよね!」


2人が武器を取り出す。今回の2人のメインウェポンは闇乃が二丁のボルトアクションアサルトライフル。鍵山が二丁のピストルと一本の日本刀。日本刀は背中の鞘に収納している。

まず闇乃が遠くから二丁のボルトアクションを構え、発砲することで10名中2名の頭が吹き飛んだ。そして闇乃に気を取られている間に反対側から鍵山が2名を狙撃する。通常ピストルは長距離の狙撃に向いていない。しかし鍵山は超高速で射撃を行う時に腕を振ることでピストルでも長距離の射撃を可能にした。10名中のこり6名。鍵山が射撃を終わると背中の鞘から日本刀を取り出しエントランスに向かって走り出す。もちろん残った6名のSPYは鍵山に対して一斉掃射を行うが鍵山の超人的なスピードで全て日本刀で弾く。その間に後ろから闇乃に撃たれ残り4名。鍵山がエントランスの壁を切り裂いて中に入ってくる。そして残り4名は反応する間もなく頭部を切り刻まれて死亡した。


「やっぱ俺は最強ぅ!」


「早く行きますよ鍵山さん!」


「さぁ!虐殺の始まりダァッ!」


2人が非常階段で2階に上がると何故か2階は異様なほどに静かだった。1階にいたSPYが連絡したのか1階とは違い完全に気配を遮断されており、どこにSPYがいるのかがわかりにくくなっていた。しかし2人は組織最強のアサシン。わかりににくいとは言っても一枚壁越し程度では気配は誤魔化せない。


「少しは頭も使えるようだがぁ。俺にはそんな小細工効かぬぅ!」


「鍵山さん。ここは一部屋ずつやっていきましょう。」


鍵山が頷くとまずは一番近くの資料室に入る。資料室は大きな棚が複数個並べられており今までにangelが殺し的な人物の情報などが並べられている。故にかなり隠れられる場所が多い。鍵山が持っていたピストルの銃身部分を付け替える。『angel』が保有している特殊武器の一つの『万能ピストル君』これは銃身を付け替えることができ、それによって様々なモードを切り替えることができる。今回鍵山はマシンガンの銃身をつけた。


「マシンガン持ちながらよぉ、超高速回転すればすごいことになるんだわぁ。」


鍵山が誰もいない部屋に向かって話しかけると棚の死角から2名のSPYが出現した。隠れて機を伺おうとしたのだろう。鍵山の言葉で無謀にも出てきてしまった2人はすぐさま頭を撃ち抜かれて死亡した。


「そもそもピストルのマガジンでマシンガン撃つんだからすごいことになる前に弾切れになるだろぉ!」


「鍵山さん!残り会議室だけです!」


「会議室は少し面倒だなぁ。一緒に向かうかぁ。」


2人で会議室の前まで移動し、会議室の扉を開けた瞬間目の飛び込んできたのは大きなミニガンだった。2人がドアを開けた瞬間一斉に発砲され、ドアに大きな穴が空いた。2人は横に避けることで回避したがそのドアに空いた穴の大きさがその威力を物語る。


「なんでうちの会議室の机はミニガンに変形するんだぁ?」


「博士さんの趣味らしいですよ。それよりも、どうしますか?」


「流石にあの物量を俺が全て切り伏せることは難しいよなぁ・・・。今現在打開策は・・・映画で見たことやってみるかぁ!?」


「映画で見たことあるやつ?ってなんですか。」


「とりあえずここの攻略は全て俺に任せておけぇ!」


ーーーーーーーー


会議室に閉じこもっているSPY3名は上の階からの救助を待っていた。現在1階の部隊から『angel』最強戦力の2人が上に登っていっているという報告を受けたため、一番武装が整っていた会議室に立て篭もることにしたのだ。


「ね、ねぇ。大丈夫なのかな?」


「ば、ばか!俺たちがここで食い止めないと上の階の奴らが全滅するかもしれないんだぞ?」


「け、けど上には『社長』もいるから絶対大丈夫だよ。だって社長はこの建物ほとんど1人で壊滅させたんだよ?」


「お前ら少し黙れ。何かおかしい。」


一番SPY歴が長いSPYが新人2人を制止する。先ほどまで外で聞こえていた物音が完全に止まった。歴長SPYがミニガンを構える。空気に緊張が走る。


「お前らこの部屋にアサシンが入ってきたらとにかく今はにげ パァンッ     ピュエt」


歴長SPYが異様な音を立てながら地面に倒れ込む。何か嫌な予感を感じた新人SPYが倒れている歴長SPYの頭を見ると頭からかなりの量の出血が見られた。

おかしい。まず相手は部屋に入ってきてはいない。外からの狙撃も考えにくい。それなのになぜか歴長SPYは頭を撃ち抜かれた。確かに銃声は聞こえた。しかし窓も割れていない。かと言ってドアに少しだけ体を見せたわけでもない。


「何がおこっt        ザンッ


「え?なn     ズバッ


気がつくと新人SPYの頭が2人ともずり落ちていた。部屋には日本刀についた血を服で拭う鍵山が立っていた。鍵山は日本刀をしまうと銃を取り出してそれを見つめた。


「いやぁ〜。映画で腕を振って銃弾を曲げるシーン見たけどできるモンダなぁ。」


「いや、さっき試したけど多分鍵山さんしかできませんよ?」


「お前の馬鹿力ならできるだろぉ?」


「いや、無理です。」


「では3階に登っていくゾォ!」


2人はこの調子でどんどん上へと進んでいった。そしてついに屋上まで辿り着いた。


ーーーーーーーー


「これで一応殲滅完了でいいんですよね?」


「あぁ。これでSPYたちは俺たちの本部からはいなくなったがぁ。まだ終わったわけじゃねぇ!こんなことしやがったSPY供を全滅させるまでおわらねぇ!」


2人が屋上でそんな会話をしているとふとしたから何か音が聞こえた。大型のドローンが移動している音。2人が屋上から下を覗いてみると二つ下の階、オフィスがある階から大きか男が博士を担いでドローンで移動している。その時2人は思い出した。この建物は構造上オフィスがある階には決まった手順を踏まないと入れない。しかし今回の暴動でそのシステムが破壊されたのか通常の階段からも入れるようになっていた。しかし2人はいつもの癖でその階をスルーしてしまっていたことを。


「どうするぅ?」


「もちろん殺害です!」


「だよなぁ!死ねっ!」


鍵山がピッチャーの構えを取り、全力でピストルをフルスイングし男の頭を狙う。男は全然違う方向を向いているので完全な不意打ちになるはずだった。しかしpとこはノールックでピストルを手のひらで受け止め、あろうことか鍵山に投げ返してきた。鍵山手につけている『特殊装甲兵装』で受け止め返すがその衝撃は凄まじく、鍵山の力を持ってしても完全に受け止めることはできずに銃弾を弾いた。


「あぁ?なんだコイツぅ。他とは全然ちゲェぞ?」


「見てわかりました。多分一番強いです。」


「そうだよぁ。けどだからと言って引き下がるかわけには行かないんだわぁ!」


鍵山と闇乃は屋上から飛び降り、男が捕まっているドローンに捕まった。もちろんそんな衝撃を想定してドローンは作られていないのでゆっくりと黒煙を巻き上げながら地面へと落下していった。


「ちょちょちょっと!?君たち誰!?」


「名乗るほどのアサシンじゃないです。」


「私は神ダァ!」


「真面目ちゃんに厨二くんね?とりあえず一旦地面に降りよっか!」


男が男がスイッチを押すとドローンのプロペラが完全に停止し、急速に地面へと落下していった。鍵山と闇乃は落下の途中で横にあるangelビルの側面を走って減速しながら降りていった。男は背中につけていたジェットパックで優雅に降りていった。全員が地面につくと男は自己紹介を始めた。


「俺は・・・まぁ。今はエックスとでも呼んでくれ。・・・かっこよくない?この呼び名!」


「どうでもいいです。」


「俺に厨二って言ったくせに自分もじゃねぇか。」


「俺はいいの!それと、君たちは?」


「だから名乗りませんって。」


「神ダァ。」


「はいはい。それでいいよ。それで?君たちはなんで僕を止めようとしたの?」


「博士を返してください。」


「えぇ?嫌だよ。だって彼女は俺のお姫さm


瞬間、鍵山と闇乃が同時に攻撃を仕掛けた。鍵山は日本刀を構え、超高速で切り掛かった。闇乃は二丁のボルトアクションで同時に頭を狙い撃った。しかしエックスはその腕でボルトアクションの銃弾を受け止め、足で鍵山の攻撃を蹴り返した。


「これを・・・無傷で防ぎますか。」


「フゥン。少しは楽しめそうじゃないかぁ!」


「いやいや。今さっきのもやばかったよ?めちゃくちゃ2人とも強いんだね。そっちの女の子。君はボルトアクションを二丁持てるだけの力があるってことは相当近接戦も強いんだろうね。刀の彼もスピードが人間のそれじゃない。2人とも近接タイプだね?じゃあ俺の敵じゃないや!」


「どういうことだぁ?」


「知ってる?俺漫画大好きなんだけど。『天地魔闘の構え』っていうんだけどさ?」







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