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第5話 「悪魔と天使」

「あとはお願いします。」


「任せろ。絶対助ける。」


現在闇乃と後輩はつい先ほど撃退した鍵山を『angel』本社の救急室まで運び、ついでに闇乃も先ほどの戦闘で受けたけがの治療を受けていた。闇乃の治療が終わると、後輩と一緒に自室に戻ろうとしていた。


「災難だったね〜。依頼終わりのタイミングを狙って襲撃してくるほど卑怯なやつとは思ってなかったからさ〜!」


「せ、先輩がいないと僕絶対死んでましたよ・・。」


「それはないとおもな〜。だって私がいなかったらそもそも鍵山さんが後輩くんを狙う理由がないからね。」


「じゃあ先輩のせいじゃないですか!」


「本当にごめんって〜!」


2人がそんな会話をしながら長い廊下を歩いていると2人の部屋の近くの壁にもたれかけている社長の善野の姿があった。善野は2人の姿を見つけるとすぐに駆け寄り、2人に一枚の紙を渡した。


「はぁ、はぁ。みろ闇乃。」


「なんですか社長・・・。あ〜。」


「先輩〜!なんですかその紙!」


後輩が闇乃の後ろから紙を見るとそこには

『これは報復。我が社のSPYを殺害した貴様らに制裁を下す』という内容が描かれていた。そして闇乃は思い出す。鍵山と戦闘する前に闘い殺害したSPY狩山の存在を。しかしそれと同時に腑に落ちない点もあった。SPY組織は非常に情報統制が徹底されており、国でも概要が詳しくわかっていない。そんなSPY組織がわざわざ手書きの紙で文書を残すだろうか?


「これ本物のスパイじゃないですよ。」


「お前の言いたいことはわかる。けど確かに本物のスパイがこの文書を俺たちに送ってきたという情報が上がった。奴らは俺たちアサシンと全面戦争するつもりだ。」


「全面戦争・・・。奴ら本当に私たちに勝てると思ってるんですかね?」


「もしかすると何か勝機が奴らにできたのかもしれない。とにかく!お前たちは狩山を殺した張本人なんだから特に気をつけるように!それじゃあ俺は議会でこの内容話してくる!」


善野は闇乃に紙を押し付けると、すぐさま廊下の奥へと走り去っていった。闇乃は少し考えたあと紙をポケットの中にしまい、自分の部屋に入った。後輩もその後を追って部屋の中に入っていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜

善野が会議室に入ると用意されていた他の2人はすでに椅子に座っており、善野のことを待っていた様子だった。善野は少しだけ申し訳なさそうに謝るとホワイトボードの前に立ち、喋り始める。


「皆んな、今回はちゃんと!集まってくれて感謝する。」


「まるでいつも俺たちがちゃんと集まってないような言い草だな!」


「そうだそうだ〜!」


「ッテメェらいつもは時間ギリギリにくるだろうがよぉ!」


善野に対して文句を垂れている赤い髪の少年は

『烈火 火炎』この会社『angel』のTOP4であり、年齢がこのTOP5の中では圧倒的に若い。しかし実力は下ではなく、普通に人間は超えている。


「でも今回はお前よりも早くきたぜ!」


「そうだそうだ〜!」


「・・・・。それでは!『angel』幹部会議(五分の三)を始めます!」


「で?今日お前がここに俺たちを呼んだのはなんでだぜ!」


「そうだよ〜。僕だって実験で忙しいんだぞ〜!」


そうだそうだと白衣の萌え袖を上に上げながら反対するのは『ジニアース博士』この会社に数年前から君臨している自称大天才最強美少女であり、実験・開発部のトップでもあり、この会社のTOP5でもある。主に戦闘兵器の開発を行っており、鍵山が使っていた『特殊装甲兵装』も彼女が開発を行っている。


「単刀直入にいうとこの会社宛にスパイの連中から宣戦布告が来た。もしかすると全面戦争になるかもしれない。」


善野は2人から何か叱責の言葉が来ると思っていたが、来たのは賞賛に近い声だった。


「よかったじゃねぇか!これで向こうからふっかけてきたという名目であいつらをぶっ殺せるな!」


「僕も最近開発してる新兵器の実験隊に数人借りたいからちょうどいいや〜。」


「そ、そうか。じゃあ烈火と」


「レッドって呼んでくれ!」


「じゃ、じゃあレッド。博士。2人はかの施設の防衛をお願いします。」


「任せろ!俺たちにかかればスパイなんて敵じゃねぇぜ!」


「僕の新兵器にどこまで耐えられるかな〜♪」


善野は2人からの了承を得るとすぐに部屋を飛び出していった。その後ろ姿を2人は眺めながら思い出す。


「アイツ・・・最近おかしくないか?」


「前まではあんなに仕事しなかったのにね〜!」


「まぁ、たくさん働くのはいいことだ!」


〜〜〜〜〜〜〜

現在闇乃と後輩は付近でスパイの目撃情報が出たため、闇乃の車で目撃地点に向かっている。善野が『流石に今ちょうどのタイミングで情報が出るのはほとんどの確率で罠だと思うから。お前ら2人に任せたら多分罠でもなんとかなる!』と言ってきたので仕方なく2人が出動している、


「私たち今日で三連勤目よ?普通の仕事ならいいんだけど命かける仕事で三連勤はおかしくない?」


「仕方ないじゃないですか・・・。僕たちはこの仕事以外はまともにできないんですから・・・。」


「私は幼少期から殺しやってるけど後輩くんはまだ元に戻れるんじゃな〜いの〜?」


「無理ですね。そもそもこの会社に入った時点で普通の人生の観点で言えば詰みなんですよ。僕も殺してますし・・・。」


「そっかぁ〜。・・・は?」


闇乃が正面を向くとそこには黒いスーツを着て刀を腰に下げている男の姿があった。男はこちらに対して居合いの構えをとっており、闇乃のセンサーがすぐに避けないと死ぬと告げていた。闇乃はシートベルトをすぐさま外すと、後輩の体を掴んですぐさま扉から道路に身を投げた。そのまま少し2人は転がり、壁に当たって止まる。闇乃が車に目を向けると車が刀で止められていた。


「拙者、SPYの侍と申す。此度『ブラック』殿を殺害に参った。」


「ついにSPYは侍も雇い始めたんですかぁ〜?どんな人員不足ですか。」


「申し訳ないがここで死んでもらいましょう。」


「死ぬつもりはないです。あなたが死んでください。」


侍が闇乃に対してジリジリと間合いを詰める。闇乃は腰のショルダーからピストルを取り出し侍に対して発砲する、瞬間。侍が刀を抜いた。侍の刀は銃弾を弾き、侍の体を銃弾が傷つけることはなかった。


「あ〜。なるほど。理解しました。」


「拙者と己の力量差を感じ取ったか。ではせめてもの慈悲、苦しまぬように殺してやろう、」


「あなたはナイフ一本で十分ですね。」


闇乃はナイフをショルダーから取り出すと、一気に侍との間合いを詰める。侍は闇乃の移動に合わせて居合の一撃を繰り出す。本気の侍の抜刀は人間の目では捉えられないほどの速度を誇る。目にも止まらぬ速さで大正を切り伏せる。今までこれからもそう人を殺していくつもりだった。


「おっそ。」


「なぬっ!!??」


侍の刀の一撃を闇乃はナイフ一本で完全に流し、そのまま侍の首元にナイフを突き立てた。首に突き刺さったナイフはとてつもない量の血を吹き出しながら深紅に染まる。侍はその場に立っていられなくなり、その場にひざまづいた。


「な・・ぜ。」


「昨日戦った人があなたよりも早かったです。多田それだけです。」


「む、無念・・・。」


その場にひざまづいていた侍だったがその数秒後にその場に倒れ込んだ。闇乃は侍の死体の中から何か情報がないかを探ろうとしたが死体の中から何か機械音が聞こえてきた。それはまるで時計のような


「爆弾っ!」


闇乃はすぐさま両手で侍の死体を弄り体の中から爆弾を取り出す。その爆弾を全力で空中に放り投げる。そして電柱より少し高いぐらいまで飛ぶとピストルでその爆弾を撃ち抜いた。爆弾はその場で爆発し、電柱の先っぽが木っ端微塵になった。


「せ、先輩大丈夫ですか!」


「・・・。」


(せ、先輩でも死人に同情することってあるんだなぁ・・・。流石に体の中に爆弾とか嫌だし。)


(なんで身体から取り外したら爆発するようにしなかったんだろ。)









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