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SPY Dead
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きらり
現実世界裏社会
2025年02月10日
公開日
2.7万字
連載中
自らの目的のためなら他人んがどうなってもいいと言う思考の『闇乃 真狩』
しかしアサシン組織の中でも彼女の行動が気に入らない『人道派』が彼女の事を失脚させようと行動する。
流石に同じ会社のスパイならあいつも殺しはしないだろうと思っているが1人、また1人と彼女に殺されていく。そこで彼らは思いつく。自分たちが敵対しているスパイ組織なら彼女を殺せるのではないかと・・・。

第1話 「angel」

アサシン会社『angel』。

そもそもアサシンとはなんなのか。依頼を受け、特定の人物を殺す事を国に認められており、水面下で任務を遂行するいわば『裏の警察』。

裏社会でどうしても殺さなければ悪行が止まらないと判断されたもの、表の警察ではそもそも逮捕、監禁が難しい人物などを事故死に見せかけて殺すことが彼らアサシンの仕事だ。

そのアサシン業界の中でも一強とされているほど大きな勢力を持った会社『angel』。天使などという名前をつけてはいるがやっていることは国が黙っているだけで大量殺人などただの犯罪ばかりだ。


「任務完了。これより帰還します。」


彼女の名前は『闇乃 真狩』。コールサインは『ブラック』と呼ばれている彼女は『angel』の中でも幹部の立ち位置にいる。幹部は5名いるがその幹部をまとめているのが真狩であり、この組織の実質的なNo.2に位置している。しかし現在そんな彼女にも迷いの種があった。


「先輩。なんであそこで関係ない人を殺しちゃうんですか・・・!」


「別に。邪魔だったから殺しただけなんだけど・・・?」


「だーかーらー!少しはかわいそうだとか思わないわけなんですか?」


「クズに対してかわいそうとか思わないけど?」


「クズじゃないかもしれないじゃないですか!」


「悪事に加担してる時点でクズでしょ。」


「あ〜!も〜!わっかんないかな〜!」


そう、彼女は任務のためなら必要な犠牲は必ず出す。基本的にアサシン会社には『記憶処理装置』が国から配布され、巻き込まれた人間には『記憶処理』が施され、普通の生活に戻れるように工夫されている。

しかし彼女はもし巻き込まれた一般人が標的との射線にいるのならば躊躇なく引き金を引く。


「そもそも私たちも人を殺してるんだからクズでしょ。」


「あ・・・確かに?」


「だからクズがクズに念仏垂れたところで意味はないんだよ。それならまだ馬の耳に念仏でも唱えたら?」


「けど!今回みたいに一般人が巻き込まれた場合は別って社長も言ってましたよねぇ!」


「けどそれで標的を見逃した方が被害が出るかもしれないんだよ?」


「でも!1人でも犠牲は少ない方がいいんじゃないですかね!?」


「そう言う正義感寒いよ。」


闇乃は後輩を一蹴するとすぐそこまできていたヘリコプターに乗り込み、椅子に座って睡眠をとり始めた。

後輩が少し焦ってヘリコプターに乗り込み2人を乗せたヘリコプターは『angel』本社に向かって飛んでいった。



そして闇乃と後輩が本社に着くと、ヘリポートに社長である『善野 全王』がなぜかヘリポートで2人の事を待ち構えていた。


「あれ?社長、どうしたんですか?」


「すまん闇乃!お前に聞きたいことがある。」


「あ、じゃあ社長、先輩。僕はここで・・・。」


2人の空気感からこれから何か重要な話をするのではと察し、後輩くんはそそくさと屋上から退出していった。


「闇乃。お前鍵山らの派閥と徹底抗戦するって?」


「はい。私のアサシンとしての信念に背きますので。」


「ハァ〜。お前は確かにこの組織のNo.2だ。けどそれはお前個人の立ち位置だ。鍵山派の奴らは『トップ5』中の何人と組んでんのかわかってんのか?」


「3ですよね?私と社長を抜いて3」


「どんだけ絶望的な状況かわかってやってんのか?」


「無理だとしても。今更私は経営方針を変える事には反対です。」


鍵山派。『No.5』中のNo.3鍵山が束ねている『angel』最大派閥。裏社会でも鍵山はを除いた『angel』と鍵山派は別物として考えられていることも多い。

そんな鍵山派と闇乃の意見が食い違ったのは二週間前。


ーー2週間前ーー


「闇乃ぉ。お前はまだ俺の考え方には反対かぁ?」


「反対というか。そもそも私は鍵山さんの掲げる『不必要な殺人はしない』という事を忠実に守っているはずなんですけど?私はそんなめんどくさいことはしてません。」


「俺の部下からつい先ほど連絡があった。これを見てみろ。」


「はい。これは・・・昨日の私の任務映像ですね。」


「ここで死んでるのは巻き込まれた一般人だよなぁ?これが必要な殺人かぁ?」


「はい。標的との射線上にいたのでそのまま吹き飛ばしました。」


「お前の実力ならすぐさまにその場を移動して一般人から射線を切ることも可能なはずだ。なぜしなかったぁ?」


「そのまま吹き飛ばした方確実だったからです。」


「・・・あ〜そうかぁ。お前はそういう態度を取るんだな?じゃあ抗争だ。うちの派閥全員vsお前の派閥。あ!そういやお前には罰なんてなかったなぁ〜!」


鍵山の周りで歓声が上がる。

闇乃はその歓声を遮るかのように耳を防ぐとすぐさまその場から退室した。


ーー現在ーー


「・・・ないとは思うけど一応だ。今日からお前に後輩くんを護衛としてつける。何かあったら2人で対処しろ。」


「後輩くん・・・?なんでですか、ただの足手纏いだと思うんですけど。」


「まぁ、人数は多い方があちらも仕掛けにくいだろう。だからと言って派閥争いで本来の任務をおろそさにするなよ。」


「了解しました。」


闇乃が屋上から退出すると善野はただ1人の護衛を除いて誰もいない屋上でタバコを吸う。吐いた煙は天多角へと舞い上がり、霧散した。


「あいつらも昔は中良かったんだけどなぁ〜。どこで教育間違えたんだろ。」


すると善野のすぐ後ろで待機していた護衛が周りの警戒を続けながら前のに進言する。


「多分会長に育てられたら誰でも歪むっすよ。」


「言ったなお前?」

ーーー


屋上から退出した闇乃はその場で後輩に社長からの指令を伝え、2人で闇乃の寮の自室へと向かった。闇乃の部屋は黒一色で統一されており、家具なども几帳面に整頓されていることがわかった。


「先輩!なんで急に鍵山さんと戦うって事になったんですか!」


「なんでだろ。私別に鍵山さんに対して悪いことしたつもりないんだけどな〜?」


「またあれでしょう!先輩が鍵山さんに対してノンデリ発言かましたんでしょう!」


「そんなことしてないよ〜。」


「・・・僕も社長からメールが来たんですけどもしかしたら闇乃さんの護衛で死ぬかもしれないって・・・。」


「アサシンなんだから別に。っていうか任務ごとに死ぬ覚悟ならあるはずでしょ。」


「まぁ?確かに?言われてみれば!」


すると闇乃の電話がプルルルッッと音を立ててなる。出てみると数時間前にあったはずの善野からだった。


「闇乃?悪いけど急ぎの案件が入った。後輩くんと一緒に向かってくれ。資料はすぐに後輩くんに送る。」


「急ぎの案件?どう言った内容で?」


「国から大量殺人犯への暗殺要請が出た。」


「あ、社長あれですよね!テレビに出てた凶悪犯!」


「そう、後輩くんそれだ。それじゃああとは任せたぞ。」


「おう。任せとけ。」






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