冬の夜、フューチャースノーパークは美しい雪景色と幻想的な光で包まれていた。冷たい空気の中、夏樹はスノーグローブ・シアターの内部に足を踏み入れる。
葵の提案で、彼はシアターのテスト映像を見ることになった。巨大なドーム型スクリーンが彼を包み込み、幻想的な光が周囲に広がる。頭に装着した「ドリームインサーター」が彼の脳波を読み取り、心の中の「夢」を映像として投影する仕組みだ。
まず、葵のテスト映像が映し出される。そこには、未来のテーマパークで笑顔を振りまく葵の姿があった。来園者の笑顔に囲まれ、幸せそうな表情を浮かべている。
「すごい……これが、私の夢。」
葵は感動したように呟いた。しかし、夏樹が試したとき、スクリーンには何も映らなかった。
「心の中に明確な夢がないと、映像化できないんだよ。」
葵は優しく言ったが、夏樹は動揺を隠せなかった。自分には夢がないのか?それとも、忘れてしまっただけなのか?
そのとき、背後から低く落ち着いた声が響いた。
「夢は、形を持たないからこそ力がある。」
振り向くと、そこにはダニエルが立っていた。シアターの設計者であり、伝説的なクリエイターと呼ばれる彼は、夏樹に深い視線を向ける。
「映らないのは、夢がないからじゃない。まだ、見つけていないだけだ。」
ダニエルの言葉は、夏樹の心に静かに響いた。彼の中に眠る何かが、少しずつ目覚め始めていた。