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雪降る夢の国で
雪降る夢の国で
AlgoLighter
文芸・その他ノンジャンル
2025年02月09日
公開日
1,860字
連載中
夢について考えそれぞれの視点で書いた物語になります。

ご愛読いただければ幸いです。

プロローグ

夜の帳が静かに降り、冬のテーマパークには雪が舞い落ちていた。


白く染まった世界に、色とりどりのイルミネーションが瞬く。光を受けた雪の結晶が淡く輝き、空気は冷たく澄んでいた。楽しげな音楽が流れ、子どもたちの笑い声があちこちから聞こえる。アトラクションが動くたびに歓声が上がり、人々は夢のひとときを満喫していた。


そんな華やかな光景の中にいながら、夏樹の心はどこか冷めていた。


「まるで別世界みたいだな……」


手袋越しに息を吹きかけ、ゆっくりと吐き出す。白い息が夜空に溶けていく様を眺めながら、彼はふと目を細めた。


子どもの頃、ここは夢の国だった。

光の向こうには、無限の可能性が広がっているように思えた。


けれど、現実は違った。


「夢なんて、追いかけても無駄だよ……」


呟いた言葉は、冷たい空気の中に消えた。


夢は儚いもの。雪の結晶と同じだ。

手を伸ばした瞬間、指の上でそっと溶けてしまう。


それでも。


それでも、まだ知らなかった。


その夜が、彼の考えを大きく揺るがすものになることを。

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