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時を超えた約束と再生

>終わりの大地

空は赤く燃えていた。

夕陽が地平線に沈みかけ、空一面を血のような赤に染めている。

黒い雲が渦を巻き、稲妻が光を裂いていた。


広大な荒野が広がっている。

乾いた地面には無数のひび割れが走り、草木は枯れ果てている。

風が吹き、砂埃が渦を巻いている。


その荒野に、一人の青年が立っていた。

黒いコートを羽織り、フードを深く被っている。

目は鋭く、瞳に炎が映っていた。


彼の手には、一本の枯れ枝が握られている。

先端は折れ曲がり、生命の気配は微塵も感じられない。

彼はそれをじっと見つめ、唇を噛みしめた。


彼の後ろには、巨大な石碑がそびえていた。

古代文字が刻まれており、長い年月を経て風化している。

その前に、一輪の花が置かれていた。


白い花。

細く弱々しい茎に、透き通るような花びら。

まるで今にも散ってしまいそうな儚さだった。


青年は花を見つめ、目を細めた。

手に持った枯れ枝を、そっと花に近づける。

だが、花は風に揺れるだけで、触れようとしなかった。


彼の目に、哀しみが浮かんだ。

肩が落ち、唇が震えている。

瞳が潤み、光が歪んだ。


空は赤く染まり、黒い雲が渦巻いている。

稲妻が轟き、大地が震えた。

彼は拳を握りしめ、顔を伏せた。


>時の回廊

突然、風が強く吹き荒れた。

砂埃が舞い上がり、空が赤から黒へと変わっていく。

渦巻く風の中に、光の粒が混じっていた。


光の粒が集まり、巨大な渦を描いている。

それは、時を超える回廊だった。

過去と未来が交差する、無限の時の流れ。


青年は顔を上げ、光の渦を見つめた。

目が見開かれ、驚きが浮かんでいる。

だが、すぐに決意の色が瞳に宿った。


彼は枯れ枝を握りしめ、光の渦に向かって歩き出した。

風が激しく吹きつけ、コートが翻る。

足元が揺れ、砂が舞い上がっている。


渦の中心に、光の扉が浮かび上がった。

扉の向こうには、緑に輝く草原が広がっている。

風が優しく吹き、花々が咲き誇っていた。


青年は手を伸ばし、扉に触れた。

指先が光に包まれ、温かさが広がった。

その瞬間、彼の身体が光に溶けていった。


光の粒となり、時の回廊を駆け抜けていく。

過去、現在、未来が交差し、無数の映像が浮かび上がった。

泣いている少女、笑い合う二人、遠くを見つめる瞳。


彼は目を閉じ、光に身を委ねた。

身体が軽くなり、時の流れに溶け込んでいく。

すべてが光に包まれ、渦が激しく回転している。


>約束の地

目を開けると、目の前には緑の草原が広がっていた。

青い空が果てしなく続き、白い雲が浮かんでいる。

風が優しく吹き、花々が揺れている。


青年は立ち上がり、草原を見渡した。

その瞳には、懐かしさと切なさが浮かんでいる。

彼は枯れ枝を握りしめ、草原を歩き始めた。


草原の中央に、大きな樹が立っていた。

幹は白く輝き、枝は天へと広がっている。

無数の光の果実が揺れ、淡く輝いている。


その樹の下に、一人の少女が立っていた。

白いワンピースを纏い、長い髪が風に揺れている。

顔を上げ、果実を見つめている。


青年は目を見開き、足を止めた。

瞳が揺れ、唇が震えている。

彼は一歩、また一歩と、少女に近づいていった。


少女が振り返った。

目が合った瞬間、時間が止まったように感じた。

瞳が潤み、微笑みが浮かんだ。


青年の瞳から、涙が一筋流れ落ちた。

彼は枯れ枝を少女に差し出した。

少女はそれを受け取り、優しく抱きしめた。


光が溢れ、枯れ枝に緑の葉が芽生えた。

花が咲き、枝が生き返っていく。

命が循環し、再び輝きを取り戻していた。


>再生の約束

少女は花を摘み、青年に手渡した。

青い花が風に揺れ、香りが広がった。

青年は花を胸に抱きしめ、目を閉じた。


光が舞い上がり、二人を包み込んだ。

草原が黄金色に染まり、命が再生していく。

樹が輝きを放ち、空が青く広がっていった。


少年の姿が薄れ始めた。

光に溶け込み、微笑みを浮かべている。

少女は手を伸ばし、涙を流した。


風が吹き、花びらが宙に舞った。

光の粒が空高く昇り、虹のように架かっていった。

少女は空を見上げ、静かに微笑んだ。


空には、永遠の約束が輝いていた。

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