「おう、制服組の。
この一年坊主から、我々にそそうがあってな。今から礼儀とを叩きこむため、制裁を行うところだ。口を出さないでもらおうか」
ヤツがわざとらしく肩をぶつけようとした肩を、自分は紙一重で避けてやる。
「なっ……きっさま!」
よろけた
「か、堅倉寮長殿」
中心から、か細い声が聞こえてくる。
するとようやく気づいたのか、仲間のひとりが慌ててこちらに呼び掛けた。
「日比野よせっ。ソイツ、青風寮の堅倉だぞ」
「……エ」
と思うと、自分に対して拳を振り上げていたリーダーの男を置いて、担ぎ上げていた綾小路までを放り投げて、雲散霧消に散ってゆく。
取り残された日比野という男は、俺を見てタラリと冷や汗を垂らした。
頃合いを見て自分は、すっかり行き場をなくしているヤツの振り上げた拳の腕をぐいと押し退け、不敵に笑った。
「どうした?振り下ろさんのか、それを」
「……その、あれだ。……お、覚えてろーーーっ」
なんと語彙力の少ないことか。
じりじり後ずさっていたかと思うと、
「あ、あの…ありがとうございました」
「ああ、うん。気を付けろ、本科の連中は気が荒いから」
◇◇◇
__ということがあって。
以来綾小路は、すっかり自分に懐いてしまった。
困った事に、
『センパ~~イ!』
などと甲高い声で自分を追いかけ、何かと世話を焼いてくる。
『こ…こら、何だその間延びした声は。シャキッとせんか!』
『はいっ、すみませーん』
照れ隠しに怒鳴ると、ピシッと帽子を正しながらも、熱い視線を向けてくる
で、この1ヶ月間、妙にムズガユイ気分になりつつも、まあ、こういうのも悪くはないと放っておいたのだが……
南条の、例の話を聞いて以来、どうにも気になっていけない。
そのせいか最近は、毎晩のように
直近では、なんと自分と
う、わああああっ!
ガンッ。
壁に頭をぶつけ、何とか冷静さを取り戻す。
もうこうなると、かくなる上は……
兄弟の契り。
うわああああああっ
ガンッ、ガンッ!
柱の角に2度、頭をぶつけ、とうとう自分は、思い余って
すると南条め、ひどく簡単に抜かしたのだ。
「なーんだ、そんなこと。
「な、何だと!?』
彼は、持ち前の軟派な様子でヘラヘラ笑った。
『当然でしょ?
下級生からそんなコト、
そうだ、口でいうのが恥ずかしいなら、
今夜は君1人にしといてあげるからさ。
僕はこれから、梓と
「な、何っ!」
そんな羨まし……
もとい。
しかし……
ふむ……ありかも。
ともかくも、いつまでもウジウジしているのは性に合わん。
砕けて散ったら、それまでのこと。
自分は早速、机に便箋とインクをセットして(海軍は何事も洋式なのだ)、ペンを取った。