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一夜の恋情
一夜の恋情
一兎
BL歴史創作BL
2025年02月09日
公開日
8,977字
連載中
小生、名を堅倉 甲志郎《かたくら こうしろう》という。

帝国海軍兵学校に所属。
この春、最上級に上がったのを期に、恥ずかしながら、学寮長を務めている。

これまで、立派な帝国軍人となること一筋で生きてきたのだが、最近、気になる者ができてしまった。


学友の勧めもあり、恋文を綴ることにしたのだが……
『小生はキサマを好ましく想っている』じゃ硬いのか?


※他サイトからの転載作品です。

第1話

 小生、名を堅倉 甲志郎かたくら こうしろうという。

 帝国海軍兵学校に所属。

 この春、最上級に上がったのを期に、恥ずかしながら、学寮長を務めている。


 突然の話で申し訳ないが、

 近頃わが寮では、上級生と下級生が“兄弟の契り”を結ぶことが流行している。


 兄弟の契りとはいっても、当然、本物の兄弟になるわけではない。

 儀式の方法は、夜、学舎の中庭の桜の木の下で、白い杯に酒を汲み、互いの小指を傷つけた血を一滴混ぜ合わせ、回し飲むこと。

 兄弟の契りを交わす者の多くは上級生と下級生。まれに同期生のものもあるが、多くは上級生が兄となり、弟である下級生が、あれこれと兄の身の回りの世話を焼く。

 その代わりに、兄である上級生は、弟分をあらゆる困難から護ってやる。もし弟に何かあれば、命に替えても護らねばならない。

 そういう絆を持つ相手をつくるということで、

いわゆる女学生でいう“エス”のような関係だ。


 一見すると、上の者が下の者を護り育てる、美しい絆の構図だが、郷里の姉上曰く、“エス”の場合、例えば海外の男女がする、接吻キッスをするようなイカガわしいものもあるという。


 それを聞いた時分は、

 “なあに、我が学寮に、そのような不埒なことがあるものか”

 と自信たっぷりに言ったものだが、同期の盟友で同部屋ルームメイトの、南条伊織なんじょう いおりにその話をしたら、


「あはは、相変わらずだなあ、甲志郎は。それくらい、皆やってるよー。ちなみに僕も、接吻は弟のあずさと経験済みさ!」


などと軽いノリで言われてしまった。


 25期生一の硬派で通っている小生オレとしては、なんと嘆かわしいことかと憤っていたのだが……


 そんな俺に、気になる者が出来てしまった。


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