俺はすぐに前を向くと、確かにそこには魔王軍の本隊と思われる魔物が迫ってきていた。

　その数はざっと100体ほど。

　その魔物たちは皆、A級の魔物で、中にはS級に近い魔物も見える。

　するとルーキスは慌てた様子で俺に叫ぶ。

「カーメン！　後ろに下がって魔力を回復していろ！」

　俺にそう言うとルーキスは魔王軍の本隊に向かって馬を走らせていく。

　そして一瞬にして上位種の魔物たちを葬っていった。

　その姿は圧巻だった。

　華麗に舞うように戦闘を進めていく様は戦姫と呼ばれている所以が分かる。

「流石ルーキス……ん？」

　俺は戦いを見ていると、軍の後方から一人の女がこちらに迫ってきているのが目に入った。

　俺はあいつに少し見覚えがある。

　何故なら1日目にして、俺の元に来て弄んで行った魔王軍のメンバーだから。

　その女の容姿は灰色の髪色をした女で、その美しい容姿が目立っている。

　そして片手には鎌が握られていた。

　その鎌は鎧をも斬ってしまいそうな鋭さを感じさせる。

「ルーキス！　後方に魔王軍の幹部、ロゼッタが来たぞ！」

　俺は慌ててルーキスにそう叫ぶ。

　するとルーキスも魔王軍後方の異変に気づき、その場から離れる。

　ロゼッタも俺に気づいたのか、少しニヤニヤしながら口を開く。

「やっぱり昨日と同じ配置なんだね、カーメン君～」

　ロゼッタはそう口にして、俺に近づいてくる。

　するとルーキスが俺の前に立って、剣を構えながら口を開いた。

「華陽の兵、そして冒険者よ、こいつが魔王軍の幹部ロゼッタだ！　ロゼッタの鎌には注意しろ！」

　ルーキスはそう部下たちに忠告するが、ロゼッタはニヤリと笑い、口を開く。

「もう！　私はカーメン君と話したいのになんで邪魔するの！　まあこの兵どもを殺した後でたっぷりとお話しするけどさ！」

「お前と無駄話をする時間はない！　第二陣！　出陣だ！」

　ルーキスはそう叫ぶと、周りの兵達が雄叫びを上げながら突撃していく。

　それに乗りロゼッタも鎌を振り回しながら、兵たちに向かっていく。

「キャハハハ、面白い～！」