儂は元賢者、トン・アルキオ。
今はロランに魔法を教えているただの老いぼれじゃ。
儂は今、魔法を教えているロランの成長ぶりを見てかなり驚いている。
この数ヵ月でロランは上級魔法まで覚えてしまい、今では最上級魔法まで覚えようしておる。
魔法を覚えるスピードが普通よりも少し速すぎるわい。
最初は会った時は直ぐに努力を辞めてしまうと思ったが、そうはならなかった。
ロランは日々努力を重ねておる。
それに加え、才能もあると儂は思っておる。
だが一つ気になることがある。
それはロランの魔力が日に日に上昇し続けていることじゃ。
これは普通では有り得ない事じゃ、魔法を使うと魔力を消費する。
その消費した分の魔力が回復するには時間がかかるのじゃ。
しかしロランはその回復スピードが異常に速い。
まるで魔力を消費した数分後に回復していっているかのようだ。
やはり王族の血が関係しておるのかのう?
王族は魔力の回復スピードが異常じゃ、それでもロランの回復スピードは異常じゃが。
儂が知っている限りでは、この魔力の回復速度を超える者は見たことが無いのう。
儂は元々王国の賢者であり、様々な魔術師と会ってきた。
だがロランほど回復速度が速い奴は見たことがない。
才能というのは恐ろしいのう。
だがロランは才能だけでなく、半端じゃない努力もしている。
なぜロランはあんなに努力を続けられるのか儂は気になっていた。
だから今日もつい奴に聞いてしまったのじゃ。
何故あれほど頑張れるのかと、するとロランはこう言ったんじゃよ。
俺には推しがいて、それを守る為じゃとな……。
それを聞いた儂は心底驚いたものじゃよ。
王族の者が、それも第一王子が推しを守りたいからと努力する。
それは普通では考えられない事じゃ。
だが儂はそれを聞いて納得したのじゃ。
ロランは本気で推しを守る気でいるとな。
だから儂もロランに最上級魔法の《炎竜》を教えることにしたんじゃ。
魔法とは時に人傷つけて、災厄をもたらすものもある。
じゃがロランを見ていると、人を守る為に魔法を学んでおると分かった。
じゃから儂もロランを応援したくなったのじゃよ。
だから儂はロランに《炎竜》を教えることにしたのじゃ。
最上級魔法には必ず大事な人を、そして世界を守る力となるだろう。
儂はそんな世界を守ってほしい。
そう思いロランには本気で最上級魔法の《炎竜》を習得させるつもりなんじゃよ。
だから儂も全力でロランの修行に付き合うつもりじゃ。
そして最終的には、あの憎き魔王から王国を守って欲しい。
そう思っておるわい。
この老いぼれが生きている間に、ロランには最上級魔法を習得してもらわんとのう。