「ここが……ギルドか」
俺は今、王都にある冒険者ギルドに来ている。
この前レッドストーンを貰う代わりに、ユキからある条件を提示された。
その条件の内容は、俺がユキの冒険者パーティーに入るという事。
かなり無茶苦茶な話だが、レッドストーンを貰わないと王都で事件が多発しそうだからな。
俺はその条件を呑むことにした。
「取り敢えず、ユキ達が来るまで中に入ってるか」
まだユキ達はギルドに居ないようなので、俺は先に冒険者ギルドの門を潜っていく。
中に入り周辺を見ると、かなり筋肉質な冒険者や、可愛い女の子もいる。
ギルドの中って賑やかで楽しそうな雰囲気だな。
俺は少し感動しながら、座る席を探す。
「おい、お前新人か?」
「ああ、俺は今日初めてギルドに来たんだが……」
突然知らない男から俺は声を掛けられる。
片手にはジョッキを持っているようで、顔も真っ赤だ。
酒臭いし、もしかして酔っ払いだろうか。
「新人が座って良い席なんてねえんだよ、分かってんのかお前?」
「別に、誰が座っても問題ないだろう? 新人が座ってはいけない理由があるのなら、聞かせて欲しいな」
「何だと? お前舐めたこと言ってると、どうなるか分かってんのか?」
「さあな」
「なら、分からせてやるよ」
そう言うと男は拳を握りしめて、俺の顔面に向けて拳を放ってくる。
「ちょっ! ちょっと待ってえええ!」
するとギルドの扉が強く開き、ユキの声がギルド内に響く。
男は瞬時に手を止めて、ユキの方を見た。
「ユ、ユキさん!?」
「その人は私の仲間よ! 私のメンバーに手を出すのは許さないわ!」
「こ、こいつがか!? す、すみませんでしたぁぁぁぁ!」
そう言うと、男は俺に頭を下げてすぐに走り去っていく。
「アレンごめんね、あいつちょっと前に入った新人なんだけど……」
「あいつも新人だったのかよ……まあ、助かったよユキ」
俺がユキに感謝を伝えると、嬉しそうに微笑んで口を開く。
「もう少しでゴウ達も来るはずだから、そこら辺の椅子に座って待ちましょう!」