目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第6話 冒険者にならない?

「ここで待ってれば良いのか」


 俺はレッドストーンの回収が終わり、広場にある噴水の場所でユキ達が来るのを待機していた。


 奴らの取引場所を襲撃するまでにかかった時間は大体2時間ぐらいだろうか。


 ここから距離もかなりあった為、かなりの時間を要してしまったが、丁度良かったようだな。


 そんな事を考えながら待っていると、ユキらしき人物と冒険者達が俺の元にやって来る。


「あ、アレンさん! お待たせしてすみません!」


「いえいえ、私も先ほどここに来たばかりですよ。それで、レッドストーンに関する情報は集まりましたか?」


「い、いえ、残念ながら皆んなで手分けをして探したのですが、情報は殆ど集まりませんでした」


 そう言ってユキは悲しそうな表情を浮かべている。


 ユキの後ろにいる冒険者達も同様、哀愁が漂っている。


「仕方ないよ~、やっぱり情報屋に頼らないと見つけられないし……」


「まあでも! また次入手すれば良いんじゃねえか! かなりの低確率だが、モンスターを討伐していればいつかは入手出来るだろう!」


 そう言い冒険者達はユキを慰めている。


 まあ、もう俺はそのレッドストーンを持っているんだがな。


「慰めの所悪いが、レッドストーンはもう俺の手元にあるぞ」


「ええええ!? ど、何処でレッドストーンを手に入れたんですかアレンさん!」


「盗人の場所を魔法で特定してな、そこを襲撃してレッドストーンを手に入れた」


「ま、魔法が使えるのですか!?」


「ああ、すまない、少しお喋りが過ぎたようだな。あと一つ、お前達に話さなければいけない事があるのだが……このレッドストーンを渡す事は出来ない」


 俺がユキ達にそう言い放つと、ピリッと空気が張り詰める。


 ユキは困惑した様子でオロオロしているが、後ろにいる冒険者達は怒りの表情を俺に向けている。


「それはどういう事だ!」


「落ち着いて聞いてくれ冒険者よ。このレッドストーンという宝石はかなり危険な物でな。お前たちが持っていては周りに被害が及ぶのだよ」


「危険だと!? それはどういう事だ?」


「お前達は「黒神」という組織を知っているか?」


「ええ、知っているわよ~」


「このレッドストーンは奴らが最も欲している宝石なのだよ。つまり、この宝石を持っていれば奴らに襲われる危険があるし、方法によっては暗殺者を雇う可能性もある。今回は盗人に盗まれて良かったな」


 俺がそう言うと、先ほどまであった怒りの表情は消え、何かに怯えるかのような表情になっている。


「すまない、少し怖がらせてしまっ……」


「いえ、あなたの言う通りでしょう」


 俺は少々言い過ぎたと思い、言い方を変えようとすると、ユキが前に立ち、リーダーのような喋りで会話を進めていく。


「この宝石、やはり危険な物なんですね。アレンさんの目を見れば分かります。嘘はついていない」


「分かってもらえたようで助かります。でらこちらのレッドストーンは俺が保管……」


「ですが、一つ条件があります」


 そう言うとユキは俺の前に立ち、服の裾を掴んで俺に条件を提示してくる。


「アレンさん! 冒険者になりませんか?」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?