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第70話 光樹の樹魂

 ミネバの護衛依頼を終えたので、冒険者ギルドへ向かって依頼完了の手続きをする。


 ギルドの建物に入り受付カウンターへ向かって、依頼主から依頼完了のサインをもらった依頼書を提出する。


「これが、護衛依頼を完了したので手続きをお願いします」

「はい、確かにセルラー子爵令嬢をユーザニア市へ送り届ける護衛依頼を完了したことを確認しました。報酬代金はどうされますか?」

「ギルド口座へ入金してくれるかな。それと周辺にあるダンジョンの情報が欲しいんだけど」


 特にすることがないので、ダンジョン攻略でもして楽しもうかと思ったら、意外な答えが返ってきた。


「かしこまりました。報酬代金は直ぐに入金しておきますね。次にダンジョンの情報なのですが、ポロ村の周辺にダンジョンはございません。ユーザニア市の周辺であれば【嘆きの地下迷宮】と【鬼の塔】という2つのダンジョンがございます。どちらもClass Cで中難易度のダンジョンとなります」


 ポロ村にはダンジョンはないため、ユーザニア市へ戻らないとダンジョンの攻略はできないらしい。取り敢えずユーザニア市周辺にあるダンジョン情報をもらえるか聞いてみる。


「ユーザニア市にある2つのダンジョンの情報が欲しいんだけど、ユーザニア市の冒険者ギルドでしかもらえないのかな?」

「そうなりますね。ダンジョンの攻略情報は、ユーザニア市のギルドで聞いて頂くことになります。申し訳ありません」

「そっか、判ったよ。ありがとう」


 手続きを終えてからは、ポロ村の家に戻って転移魔法陣を使って拒絶の森へ帰った。


 拒絶の森で少しゆっくりしてから、ユーザニア市にあるダンジョン攻略をする。ここが私の生まれ育った本拠地だし、光樹や守護龍たちもここに居るから、しっかりと顔を出して主らしいこともしないとね!


 転移魔法陣で久し振りに拒絶の森にある本拠地に着いた。光樹を見ると何か実ってるように見えたので、早速鑑定をしてみる。


【樹魂】光樹の分魂体で、光樹の主が魔力を注ぐことにより眷属化する。実体化した樹魂は主の下僕として活動することができる。


 樹魂に私の魔力を注げば、眷属として実体化できるってことだね。拒絶の森を本拠地として維持するために、管理を任せるには良さそうな気がしたので、実っていた4つの樹魂を手に取って魔力を注いでみた。すると樹魂は淡く発光しながら人型の姿へと変化したあとに跪いた。


「我が主アリス様、我等は未来永劫の忠誠を誓います」

「ありがとう。あなた達には拒絶の森の開墾と、維持管理をしてもらいけど良いかな?」

「はい、仰せのままに!」

「じゃあ、貴方達に名前をあげるね。アリス.フェリシアが樹魂たちに名を授ける【トライア】【トレミー】【トレシュ】【トレッサ】この本拠地を少しずつで良いから開墾してね。冒険と学園での生活を済ませたら、拒絶の森で本格的に生活をするつもりだからよろしくね」

「アリス様、我等には開墾というものの知識がございません。なにをすれば良いのか助言を頂きたのですが?」

「じゃあ、並列思考セラフィムに開墾の方法と計画を立てさせるから、決まったら連絡をさせるね」

「「かしこまりました」」


 運良く拒絶の森を任せることがてきる眷属を得た。今は本拠地と名ばかりで家があるだけだけ、見た目だけならユーザニア市にある屋敷の方が本拠地に見えちゃうもんね。それでも、ここは私が生まれた場所なので、特別な想い入れがあるの。光樹を中心とした街を造って、いずれは国のようにしてみたいんだよね。そんなことを考えていると、大きな気配が私の元へ近付いてきた。


「「偉大なるアリス様、お久しぶりにございます」」


 私の眷属である守護龍人たちが挨拶にやって来たのだった。



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