ミネバが魔法学園の受験を終えたので、ポロ村へと戻られる日となった。
私達がセルラー子爵家別邸で、御者の2人と帰路の打ち合わせをしていると、ミネバ専属メイドであるケイトがやって来た。
「お早うございます。お嬢様はもう暫くしたら参られます」
「ケイトさん、お久しぶりです。帰路もよろしくお願いしますね」
「アリス様、お嬢様は本当に楽しみにされてます。大変でしょうがよろしくお願いします」
ケイトさんと話をしていると、ミネバと兄のアルスが玄関から出てきて、私を見るなりミネバは駆け寄って声をかけてきた。
「アリス、久しぶりね、ポロ村への護衛をよろしく頼むわね」
「はい、お任せください!」
ミネバの言葉に返事をすると、アルスからも声をかけられる。
「光の絆のみなさん、ミネバのことをよろしく頼むよ。
「はい、油断せず護衛の任務を全う致します」
「君達に任せれば大丈夫と判っていても、可愛い妹なので心配してしまうんだよ」
妹のこととなると居ても立っても居られないんだね。御者のガンツが、出発の準備ができたと言ってきたので、ポロ村へと帰る馬車旅が始まったの。
現れる魔物も危険な場所も既に把握してるので、帰路はとても順調な馬車旅だった。魔物の襲撃はリューネのレベリングをするために、私達はサポートに徹していた。この程度の魔物だと私達のサポートは不要な感じだったので、私は馬車内でミネバの話相手をしていた。
「アリス、私が魔法学園へ通っている間はユーザニア市で過ごすのかしら?」
「そうですね。10歳になったらグリエル英傑学院へ入学するつもりなので、それまではユーザニア市でダンジョン攻略をする予定です」
「それなら、アリスの屋敷へ遊びに行ってもいいかしら?」
「狭い屋敷でよろしければ、是非お越しください」
「ホント? あとアリスと一緒にダンジョンへも行ってみたいの。連れて行ってくれる?」
「魔法学園で魔法をしっかりと学ばれて、魔物と戦うことが可能であるのと、子爵様のお許しを頂けるのなら構いませんよ。あっ、私はステータス鑑定ができるので、ミネバ様を鑑定してみましょうか?」
「まぁ、聖職者じゃないのに鑑定がてきるなんて、是非とも鑑定して欲しいわ」
「では、失礼します」
【名前 】ミネバ.セルラー 11歳
【種族】人族
【LV】 1
【職業】貴族令嬢
【HP】10
【MP】15
【筋力】5
【防御】5
【魔力】10
【敏捷】5
【知力】10
【運気】5
〘水魔法 Lv1〙〘土魔法 Lv1〙
〘風魔法 Lv1〙〘杖術 Lv1〙
「水土風のトリプル属性に杖術なんですね」
「えっ? 教会での洗礼では水と土属性のみでしたよ?」
「私の鑑定では発現してない物も見えるので、風魔法を学べば使えるようになりますよ」
「そうなのね! 入学までにしっかりと学ぶことにするわね!」
「はい、頑張ってくださいね」
その後も道中は何事もなく、あっという間にポロ村へ到着して、ミネバの護衛依頼は無事に完了したの。
§ミネバの想い§
私はセルラー子爵家次女ミネバ.セルラー。
貴族令嬢として生まれたので、貴族へ嫁ぐのが至極当然なのでしょうね。
ユーザニア市にある魔法学園へ通って、優秀な成績を修めて有力貴族の元へ嫁ぐということが、貴族令嬢としての務めなのですが、アリスとの出会いで私の中に貴族以外の生き方もあるのでは? そんな思いが芽生えました。
アリスの自由きままな生き方を見ていると、貴族としての生活には少し息苦しさを感じてしまいます。アリスとは魔法学園へ通ってる間に、一緒にダンジョンを攻略し友好を深めて、私の今後を決めたいと思ってるの、そして貴族を離れると決めたその時は、アリスと共に歩んで行きたいと思ったの。