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第69話 ポロ村への帰路

 ミネバが魔法学園の受験を終えたので、ポロ村へと戻られる日となった。


 私達がセルラー子爵家別邸で、御者の2人と帰路の打ち合わせをしていると、ミネバ専属メイドであるケイトがやって来た。


「お早うございます。お嬢様はもう暫くしたら参られます」

「ケイトさん、お久しぶりです。帰路もよろしくお願いしますね」

「アリス様、お嬢様は本当に楽しみにされてます。大変でしょうがよろしくお願いします」


 ケイトさんと話をしていると、ミネバと兄のアルスが玄関から出てきて、私を見るなりミネバは駆け寄って声をかけてきた。


「アリス、久しぶりね、ポロ村への護衛をよろしく頼むわね」

「はい、お任せください!」


 ミネバの言葉に返事をすると、アルスからも声をかけられる。


「光の絆のみなさん、ミネバのことをよろしく頼むよ。火竜フレイムドレイクを討伐する実力なら心配をする必要はないかな?」

「はい、油断せず護衛の任務を全う致します」

「君達に任せれば大丈夫と判っていても、可愛い妹なので心配してしまうんだよ」


 妹のこととなると居ても立っても居られないんだね。御者のガンツが、出発の準備ができたと言ってきたので、ポロ村へと帰る馬車旅が始まったの。


 現れる魔物も危険な場所も既に把握してるので、帰路はとても順調な馬車旅だった。魔物の襲撃はリューネのレベリングをするために、私達はサポートに徹していた。この程度の魔物だと私達のサポートは不要な感じだったので、私は馬車内でミネバの話相手をしていた。


「アリス、私が魔法学園へ通っている間はユーザニア市で過ごすのかしら?」

「そうですね。10歳になったらグリエル英傑学院へ入学するつもりなので、それまではユーザニア市でダンジョン攻略をする予定です」

「それなら、アリスの屋敷へ遊びに行ってもいいかしら?」

「狭い屋敷でよろしければ、是非お越しください」

「ホント? あとアリスと一緒にダンジョンへも行ってみたいの。連れて行ってくれる?」

「魔法学園で魔法をしっかりと学ばれて、魔物と戦うことが可能であるのと、子爵様のお許しを頂けるのなら構いませんよ。あっ、私はステータス鑑定ができるので、ミネバ様を鑑定してみましょうか?」

「まぁ、聖職者じゃないのに鑑定がてきるなんて、是非とも鑑定して欲しいわ」

「では、失礼します」


【名前 】ミネバ.セルラー 11歳

【種族】人族 

【LV】 1

【職業】貴族令嬢

【HP】10

【MP】15

【筋力】5

【防御】5

【魔力】10

【敏捷】5

【知力】10

【運気】5

〘水魔法 Lv1〙〘土魔法 Lv1〙

〘風魔法 Lv1〙〘杖術 Lv1〙


「水土風のトリプル属性に杖術なんですね」

「えっ? 教会での洗礼では水と土属性のみでしたよ?」

「私の鑑定では発現してない物も見えるので、風魔法を学べば使えるようになりますよ」

「そうなのね! 入学までにしっかりと学ぶことにするわね!」

「はい、頑張ってくださいね」


 その後も道中は何事もなく、あっという間にポロ村へ到着して、ミネバの護衛依頼は無事に完了したの。


§ミネバの想い§

 私はセルラー子爵家次女ミネバ.セルラー。

 貴族令嬢として生まれたので、貴族へ嫁ぐのが至極当然なのでしょうね。


 ユーザニア市にある魔法学園へ通って、優秀な成績を修めて有力貴族の元へ嫁ぐということが、貴族令嬢としての務めなのですが、アリスとの出会いで私の中に貴族以外の生き方もあるのでは? そんな思いが芽生えました。


 アリスの自由きままな生き方を見ていると、貴族としての生活には少し息苦しさを感じてしまいます。アリスとは魔法学園へ通ってる間に、一緒にダンジョンを攻略し友好を深めて、私の今後を決めたいと思ってるの、そして貴族を離れると決めたその時は、アリスと共に歩んで行きたいと思ったの。


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