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第66話 信頼の証

 私達はバートン奴隷商から戻ったあと、8名の奴隷たちをサロンへ招いたの。そして、奴隷契約を解除してから、新たに主従契約に変えることを伝えると、全員が驚いた顔をしていた。


 私は厳しい誓約で縛り付けるのは好きでは無いことと、メイドや警備として雇うと決めて迎えたので、主としては信頼をしている証だと説明すると、目を潤ませながら喜んでいた。


 次に対価として支払う給金は、相場なんで判らないので月に金貨1枚に設定。衣食住はこちらで全てを用意すると伝えたら、奴隷の身分なのにもかかわらず、余りもの好待遇だと感激して涙を流して、私との主従契約を結ぶことを快く承諾してくれた。


 奴隷契約の解除のあと、続けて主従契約を済ませたところで、それぞれの仕事内容について、並列思考セラフィムから聞いた提案をそのまま伝える。


【シオン】メイド長兼出納係

【カナデ】ハウスメイド

【アン】ハウスメイド

【マリオン】キッチンメイド

【ナナイ】キッチンメイド

【アマンダ】守衛長

【シェリル】守衛

【カーラ】守衛


 あとメイドを3名と、守衛を1名雇う予定だけど、取り敢えずはこの体制で開始してもらうことになったの。


 シオンには屋敷で必要な物があれば、いつでも購入できるように、金貨100枚を取り敢えず渡すと『こんな大金を……』と驚いていた。


 アマンダには屋敷周りの警備に盲点がないか確認してもらい、必要であれば改修するように伝えておいた。必要な資金についてはシオンに相談するようにとも伝えた。


「シオン、メイド長として屋敷の運営を任せるからよろしく頼むね!」

「かしこまりました。アリス様が快適な生活を過ごせるように最善を尽くします」

「他のみんなも余りかしこまらないでね。私は主従関係なんて堅苦しい関係じゃなくて、みんなを大事な家族と思ってるからね!」

「「「お心遣いに深謝致します」」」


 さぁ、他にも色々としたいことがあったけど、そろそろミネバお嬢様がポロ村へ帰る頃なので、護衛任務の打合せをしにセルラー子爵家の別邸へ向かったの。


 セルラー子爵家の別邸では、特に問題もなく打合せを済ませると、ポロ村への出発は明後日に決まった。ミネバお嬢様とは火竜フレイムドレイク討伐の話をおねだりされたけど、ポロ村へ戻る道中のお楽しみと言って納得してもらうと、セルラー子爵家の別邸をあとにして屋敷へ戻る。すると、シオンからユーザニア伯爵の遣いが来ていると知らされた。


 どうやら火竜フレイムドレイクの査定額が決まったみたい。私は伯爵の遣いから封書を受け取り内容を確認したの。


火竜フレイムドレイクの角 金貨 800枚

火竜フレイムドレイクの骨 金貨 1,200枚

火竜フレイムドレイクの爪 金貨 300枚

火竜フレイムドレイクの鱗 金貨 1,200枚

火竜フレイムドレイクの火炎袋 金貨 500枚

合計金額4,000枚


 上記の金額がギルド口座に入金されたと書かれていた。これで当分の間はお金には困らないだろうね。転移ができるからあまり必要ないんだけど、自前の馬車とかを買っちゃおうかな? 屋敷内に稽古場とかもあれば良いかも知れないね。食事の時にでもみんなの意見を聞いてみて、色々と屋敷の改善をしようと思った。並列思考セラフィムにも良い案があれば提案するように指示を出しておいた。


 明日は冒険者ギルドへ向かって、リューネの冒険者登録をする。私達のギルドカードの更新もしておきたいからね。その後は、護衛依頼のクエストに必要な物を買い揃えることにした。

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