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第63話 トップ会談

 私達はユーザニア市内へ入る前に、火竜フレイムドレイクの亡骸を妖精の鞄フェアリーポーチに収めたの。北門を通って市内へ入ると、市兵の隊長が私の元へやって来て声をかけてきた。


「お嬢ちゃん達が持ち帰った竜種の亡骸が本物なら、ユーザニア市を統治する伯爵へ献上することになる。悪いが伯爵邸まで同行してもらうからな」

「えっ……、断れないの?」

「拒否をすれば身柄を拘束するぞ?」

「仕方ないから一緒に行くよ」


 何故かユーザニア市を統治するユーザニア伯爵の元へ、半ば強制的に連れて行かれることになった。


 そして伯爵邸に到着して応接室へ案内されると、ユーザニア伯爵の到着を待たされた。


 結構な時間が経ったところでようやく扉が開くと、ユーザニア伯爵とユーザニア大聖堂のフランシスコ大司教の2が応接室へ入って来たの。私と目が合った大司教が『パチッ』とウィンクをしてから席に着くと話が始まる。


「おぉ、アリス様が竜種襲来という未曾有の危機から、ユーザニア市を救って下さったのですか?」


 大司教が親しそうに話しかけると、不思議に思った伯爵が大司教へ顔を向ける。


「おや? 大司教様はこの少女達のことをご存知なのですか?」

「伯爵、話の前にまずは人払いを、私と伯爵以外の者は遠慮願いたい」

「大司教がそう言われるのなら仕方ない、他の者は外で控える様に!」

「「かしこまりました」」


 人払いが済んで、私達4人に伯爵と大司教だけとなり、大司教が話し始めたの。


「アリス様、伯爵には一切口外させませんので、あなたのことを教えても良いですか?」

「構いませんよ。このユーザニア市を統治されてる人ですからね」

「ありがとうございます。竜種討伐に少女達が向かったと聞いたのですが、やはりアリス様か竜種討伐に向かわれたのですね?」

「うん、冒険者ギルドへ向かって、緊急クエストが出てないか確認したけど出てないからさ、私が竜種を討伐すると言ったんだけど、誰も信じてくれなかったからさ、勝手に討伐しちゃったんだよ!」

「アリス様の言葉を信じなかった? 馬鹿どもが申し訳ございませんでした。然るべき処分をと言いたいところですが、アリス様はそれを望まれてませんね?」

「うん、あまり大げさにしてもね? 竜種は倒されてユーザニア市に危機はないことを伝えてくれる?」

「かしこまりました」

「あの……大司教様? この少女はいったい何者なのですか?」

「伯爵、この御方は我等が信仰する七神女神様の全てから加護を授けられた【七神女神の愛し子】なのです。御本人は自由気儘にこの世を満喫されながら、我々のことを御守り下さっているのですよ」

「そ、そのようなお方でしたか! ユーザニア市を守って頂き感謝致します。一切口外しないと誓います」

「気にしないでね、自由気儘に行動する様に七神女神様から言われてるだけだからね」

「それでアリス様は、今後はどのように?」

「セルラー子爵家のミネバ様の受験が終われば、ポロ村へ戻るからその護衛をするの。それが終わればユーザニア市へ戻ってきて、冒険者としての活動を楽しむ予定だよ」

「おぉ、それならばユーザニア大聖堂にも是非お越し下さい」

「うん、七神女神様へのお祈りを捧げに行くよ。話は終わりでいいかな? 冒険者ギルドへ行って火竜フレイムドレイクの素材を売りに行こうと思ってるの」

「アリス様! 火竜フレイムドレイクの素材は伯爵家の方で引取らさせていただけませんか?」

「いいよ!【竜眼】と【竜核】は私が欲しいから渡せないけどいいよね?」

「勿論でございます。後ほど執事に案内させますので、そちらでお渡し下さい」


 応接室での話が終って、必要な素材以外は伯爵へ売却したの。素材の売却代金は冒険者ギルドに入金してもらうことになったの。


 うん、メイドを探しに奴隷商へ行くつもりだったけど、色々と疲れたから拠点へ戻ってゆっくりと休むことにした。

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