警鐘から少し遅れて拡声魔法によるアナウンスが始まる。
『ユーザニア市北部の山岳に竜種の接近を確認しました。市民は屋内へ避難を、市兵は各所へ配置について最大級の警戒をとれ!』
ユーザニア市が竜種による強襲の可能性があるらしい。私達なら強襲を防ぐことが出来るかも知れない。とりあえず状況を確認する為に、ユーザニア市にある冒険者ギルドへと向かった。
私達が冒険者ギルドに到着すると、ギルド内は既に大混乱の状態になっていた。ギルドマスターとユーザニア市兵の隊長が竜種の対応に付いて話し合っているが、竜種が相手では冒険者と市兵を合わせた戦力でも、全く太刀打ちが出来ないみたいなの。王国軍が控えている要塞都市から救援を待つにしても、その間に竜種から受ける被害は甚大になるのは確実なので、打つ手がないので大混乱してるんだね。
私はそんな大混乱の中、騒いでるギルドマスターの前まで近付いて声を掛けた。
「あの〜、竜種討伐の依頼が出てるのなら依頼を受けますけど、緊急討伐のクエストは出てないんですか? 無いなら適当に竜種を討伐しちゃうけど」
「おい、この状況で冗談を言うな! 俺達は必死に対応策を考えてるんだよ!」
「えっ、私は冗談を言ってないんだけど? 信じてくれないみたいだから、勝手に山岳へ向かって竜種を討伐してくるね〜」
「寝言は寝て言え! 邪魔をするなら出て行け!」
竜種くらいで勝手に混乱してる奴は放っておいて、急がないと竜種がユーザニア市内に来てしまうかも知れないので、竜種を討伐する為に山岳へと急いで向かったの。
山岳の手前までゼシカとアナを連れて到着すると、赤い鱗で身を包んでいる
私がゼシカに指示して水魔法で牽制をしてもらい、私が攻撃を向けられていた何かに近づいた。そこには紫色の小さな仔竜がギズを負って倒れていた。傷はかなり深いようで瀕死の状態みたいなので、私は〚
「私はゼシカの加勢をするから、この仔を見守ってあげてね」
「かしこまりました」
仔竜はアナに任せて、私は急いでゼシカの元へ行くと、手傷を負いながらもギリギリで交戦してくれていた。
「ゼシカ、よく頑張ったね。後は私に任せて!アナの元に向かって待機しててね」
「アリス様、1体も倒せず申し訳ございません……ご武運を……」
「うん、ありがとう」
さぁ、ゼシカに傷を負わせた
『グバァーーーー』
「そんなモノは効かないよ〚
水の盾を発動させて
「私は生きてる! 貴方が助けれくれたの?」
なんと、仔竜は言葉を話すことが出来るみたい。拒絶の森の竜種たちも言葉を話していたのを思い出した。コミュニケーションが取れるのはありがたいね。
「そうだよ。君はかなり深い傷を負っていたけど、治療が間に合って良かったよ。どうして同族に襲われていたの?」
「いえ、同族ではありません。私は竜人で竜と人の血が混ざった穢れた者です……」
「はぁ〜、血が混ざると穢れるとか馬鹿馬鹿しいよね。互いの良い所を受け継いだ、優れた者だと思えないのかな? 君は竜人なら容姿は変えれるのかな?」
「出来ますが……今は身を護る為に竜になったので、1日はこの姿のままになります」
「そうなのね。それで君は戻る場所はあるのかな? あるならそこまで送り届けるよ」
「先程、
「ごめんね。辛いことを聞いたね……もし君が良ければだけど私達の元へ来ない? 何かと訳ありな3人で暮らしてるから気にしなくても良いよ。あっ、取り敢えず自己紹介をするね。私はアリスだよ」
「私はリューネブルック。リューネと呼んでください。どうか私をアリス様の元へ置いてください」
「私はゼシカよ。あなたもアリス様の従者として共に励みましょう!」
「私はアナだよ。アリス様は素晴らしい主なのです。何も心配する必要はないからね」
結局、リューネも私との主従契約を望んだので、主従刻印紋を付けて3人目の従者として迎えたの。