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第53話 ユーザニア市への護衛③

 馬車は森を抜けて渓谷へと進むんで行く。


 渓谷は谷底が街道になっているので、崖を踏み外せばそのまま奈落の底へ落ちる的なものではなかったけど、両サイドは30m以上の絶壁になっていた。


 魔物が崖を駆け降りてくる可能性があるかも知れないので、全方位への警戒を怠らないようにする。御者は私達の強さを判っているので、リラックスしながら街道を進むことができるみたい。特に襲撃を受けることもなく2時間ほど移動をしていると、御者から『そろそろ休憩を取りたい』と伝えられたので休憩をすることにしたの。


 休憩中の私は、ミネバと温かい紅茶を飲みながら世間を話をしていた。


「ミネバ様は、ユーザニア市で魔法学園の受験をするんですよね?」

「そうよ、私は水と土なニ属性の魔法適性があるみたいだから、魔法学園で魔法を学びたいと思っていたのよ」

「学園ってさ、魔法学園以外にも色々な種類の学園があるんですか?」


 ミネバは魔法学園を受験するけど、他にも専門的な学園があるのかと思い、そのことを聞いてみたの。


「ユーザニア市だと魔法学園と武術学園があるわよ、後は学園とは少し違うけど冒険者学校というものもあったかしら?」

「そこへは誰もが入学試験を受けて、合格さえすれば通えるのですか?」

「入学試験に合格をして、授業料等の学費を払えるなら通えると思うわ。アリスは学園に興味があるのかしら?」

「う〜ん、ないと言えば嘘になるけど、どうしても学園に通いたいとは思ってないかな?」


 私の言葉を聞いたミネバは『ハッ』と、何かに気付いたような表情になり、私の肩をに手をかけながら元気付けるように話かけてきた。


「アリス、授業料等の支払いが問題なら、王都にある【王立グリエル英傑学園】という所があるの。そこは完全実力主義の学園で、入学試験に合格すれば学費は全額免除なのよ!」


 ミネバは、金銭的な事情で学園へ通うことを悩んでると思ったのね。お金は魔物を討伐すれば簡単に稼げるから、全く問題はないんだけどね。変に気を遣わせたのかな?


「英傑学園とかなんか凄そうな感じですね」

「文武魔の全てを高度なレベルで学ぶから、かなりの実力を求められるのよ。入学してから卒業するまでには、1割程しが生徒が残らない程の厳しさらしいのよ」


 流石は英傑というだけあって、入学も卒業も難しい所なんだね。簡単な説明だったけど、少しだけど英傑学園に興味が湧いたの。


「英傑学園は、10歳から15歳までの間なら入学可能なのよ。その年頃までに決めれば良いと思うのよ。そういえば、今のアリスって何歳なのかしら?」

「私は7歳です。受験資格までは3年あるので熟考してみますね」

「アリスは凄く優秀みたいだから、受験すればきっと合格するわよ」

「それは買い被り過ぎですよ」


 ミネバと英傑学園の話をしてると、御者が休憩の終了を告げにやって来た。


「ミネバお嬢様、そろそろ出発のお時間です。馬車へお乗りください」

「判ったわ。アリス、紅茶とお菓子ありがとう! とても美味しかったわ」

「はい、口に合って良かったです」


 休憩が終わると、御者の手綱を引いて馬車が渓谷を進み始めた。

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