目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

第49話 不機嫌なアリス

 私達は、冒険者ギルドの地下にある解体場へ案内されて、副ギルドマスターが私に向かって話しかけた。


「ではこちらへ、討伐したという魔物を出して頂いてもよろしいですか?」

「はい、ここなら大丈夫だね。ヨイショ!」


 私は【妖精の鞄フェアリーポーチ】からワイバーンとキラーウルフを取り出したの。


『ズドォーン……』


 目の前に大量の魔物が置かれたことに、副ギルドマスターと受付嬢が驚いたの。


「「「えっ!?はっ!?」」」

「え〜、ワイバーンが5体にキラーウルフが8体です。依頼書に書いてある魔物と同じですねよね? 確認してもらえますか?」


 私の言葉を聞いて『はっ』と我に返った2人が、慌てながら魔物を確認する。


「確かに、ワイバーンとキラーウルフで間違いありません。しかし、あなた達【光の絆】はRank Eでしたよね? どうしてこの討伐依頼を受けたのですか? これはギルド規約の違反になります」

「規約違反って、依頼書の制限のところがRank−になってるのって、ランク制限がない訳けだから受けたのに問題があるの?」


 依頼書にランク制限がないのだから問題ないと主張すると、副ギルド長はため息をつきながら説明を始める。


「はぁ~、確かにこの依頼書にはランク制限はないのですが、冒険者ギルドの規約で討伐はRank Dからなのです」

「それは、依頼書のランク制限を−にしてる冒険者ギルドが悪いと思いますよ。冒険者規約にはランク制限なしと記載されてるので、完全にそちらのミスだと思います」

「まぁ、それはそうですが……」

「間違いのもとになるので、討伐の依頼書には 必ずランク制限の有無記載しておいて下さいね。今回の依頼は無効で構いません。魔物の亡骸はすべて持って帰ります」


 なんか『イラッ』としたので、〘拒絶〙を使って買取ってもらっても良かったけど、魔物の亡骸は全て持って帰ることにしたので、妖精の鞄フェアリーポーチに収納しようとしたら、男性が慌てて駆け寄って声をかけてきた。


「お嬢さん、その魔物からは貴重な素材が取れるんだ。うちで引き取らしてくれないか?」


 冒険者ギルドの解体師さんらしき人が声をかけてくるが、ギルドに収める気は失せている。


「討伐依頼が無効なら、このギルドへ収める理由がないですよね? ユーザニア市への護衛依頼を受けてるので、ユーザニア市の冒険者ギルドへ持ち込むので結構です」

「おい、ナタリア! この村でこれ程の素材は滅多に手に入らねぇんだ。ギルドの非を認めて依頼達成を認めねえと、ユーザニアへ持って行かれるんだぞ!」

「解体長が言うのなら致し方ありませんね、今回はギルドの不手際をお詫びします。改めて討伐依頼を完了とさせて頂きますので、どうか魔物を引き取らせて頂けませんか?」


 気分はスッキリしないけど、解体長が素材を欲しがってるので許すことにした。


「判りました。それと依頼書の変更をよろしくお願いしますね」

「はい、依頼報酬は引き取り素材の査定額も一緒にお渡ししたいので、明日以降にギルドの受付へ声をかけてください」

「判りました」


 なんとか討伐依頼は達成したので冒険者ギルドを後にしたの。明日は子爵邸に行く前にギルドで精算するのでかなり忙しそう。拒絶の森へは戻らずポロ村の拠点で泊まろうと話したら、ゼシカは『ニコニコ』していた。


「ポロ村の拠点に泊まるなら、お食事はミーパラですよね? お昼も夜もミーパラですよね? 明日の朝食用にテイクアウトもしておきますか?」

「「夜だけで!!」」

「何故ですか? お肉を食べないと大きくなれないし歳もとりませんよ?」

「「大きくなるし、歳もとるから!!」」


 ゼシカには夜の食事のみミーパラってことで我慢してもらい、私とアナは胸をなで下ろしたのだった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?