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第42話 従者達の訓練

 私達が快適な冒険生活を送るための話合いをしてから1週間が過ぎたの。


 私は、並列思考セラフィムに〘天才〙とリンクをすることで、大量の荷物を簡単に運搬するという問題と、ダンジョンで野営をする時に身の安全を守れるスキルを開発するように指示を出したの。


 私も全てを任せっ放しにするのではなく、ちょっと閃いたことがあれば、その都度内容を伝えるようにしていた。


 冒険生活の向上問題は、基本的に並列思考セラフィムと〘天才〙に任せて、私はゼシカとアナの育成に力を注ぐことにした。


 3人でダンジョンを攻略するにしても、パーティーのパワーバランスが悪ければ、ゼシカとアナの命が危機に晒されてしまうからね。


 私は主として、2人を安全を絶対に守ってあげる義務があるから、心を鬼にして厳しい成長プランを実行したの。


 前にゼシカを育成していた頃と同じように、アナにも【拒絶の森】で魔物の討伐に奮闘してもらってるの。ステータスを効率的に伸ばすには、やはり実戦に勝るものはないないからね。ただ、以前にも言ったけど戦闘に参加せず、経験値だけを得てレベルアップをしても、ステータスだけ伸びて中身が『スカスカ』になるだけだから。


 これは、屈強な戦闘奴隷や高ランクの冒険者を雇う、富裕層や貴族連中に多くみられて、レベルだけは高いんだけど雑魚なんだよね。


 なので、私は最低限のサポートをするのみ。基本的にはアナとゼシカの2人で戦わせて、初見や強い魔物が現れた時だけ、私が手本や対処法を見せて学ばせる。


 この日も、日が傾く頃までかなりの数の魔物を討伐して、2人が『ヘトヘト』になったところで強化訓練を終わることにした。


「「はぁ、はぁっ……」」

「2人ともお疲れ様〜!」

「アリス様にお願いがあります……」


 疲れて息が上がりながらも、ゼシカが私に声をかけてくる。疲れ果てたゼシカが願うことはたった一つだ。


「ゼシカのお願いってお肉でしょ?」

「流石はアリス様!」

「ちょっと待っててね。ミノタウロスを狩ってくるよ」

「はい、お任せください! 行ってらっしゃいませ!」


 軽くミノタウロスを狩って戻ってきたところで【拒絶の森】の拠点へと戻り、ゼシカ待望のミノタウロスを使ったら肉のフルコースを堪能してから、3人でお風呂に入って汗を流した後は、サロンでまったり寛いだあと、それぞれの部屋へと戻ったの。


 部屋に戻ってベットに腰を下ろしたタイミングで並列思考セラフィムが声をかけてくる。


『アリス様、お時間よろしいですか?』

『うん、いいよ』

『大量の荷物を運ぶために〘空間魔法〙で鞄の中を拡張する理論ができました。しかし、鞄の中に食料を入れても、時間の経過で劣化してしまいます』

『あぁ、劣化もだけど、温かい物も冷えちゃうってことだよね?』

『そうなのです』


 空間魔法で拡張はできても、時間が経過すれば劣化すると聞いて『ハッ』と閃くと、その内容を並列思考セラフィムに伝えてアドバイスしたの。





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