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第41話 夢のようなこと

 従者も増えてパーティーが3人になり、本格的に冒険者活動でも始めようかと思った。


 どうせなら、ファンタジーの王道であるダンジョンに挑んでみたいのよね!


 私達の活動拠点があるポロ村は、ゼクス伯爵領内にあるの。ゼクス伯爵領はユーザニア市と、4つの町村【カロ】【ネロ】【バロ】【ポロ】がある。私は並列思考セラフィムにゼクス伯爵領内にダンジョンがないか調べてもらった。


『アリス様、4つの町村の近くにダンジョンはありませんが、ユーザニア市の近くに2つのダンジョンが存在しています』

『おぉ、この世界のダンジョンってどういう物なのか教えくれる?』

『はい、ダンジョンは【魔窟】【魔塔】の2種類があって、最深層にダンジョンマスターが存在しています。そのダンジョンマスターを倒すと【証】を得てランダムで能力を獲得することができます』


 説明を聞いただけで『ワクワク』したので、ダンジョン攻略を当面の目標に決めたの。


 ユーザニア市の近くには魔窟【嘆きの地下迷宮】と魔塔【鬼の塔】があるらしいので、ダンジョンを攻略するために、ポロ村からユーザニア市を目指すことにしたの。


 次に、快適なダンジョン攻略をするために必要なことを3人で話し合ったの。3人の中で唯一旅を経験しているゼシカが、必要な物をいくつかあげてくれた。


「ダンジョン攻略だと野営をする事になりますから、テントや食料等の野営セットを用意する必要がありますね」

「そっか、そうなると荷物の量がかなり多くなって、運ぶだけでも結構な重労働になるかも知れないね」


 ダンジョンを進む時は馬車なんで使える訳もなく、荷物は全て自力で運ぶ必要がある。


「さらにダンジョン内で野営をするなら、魔物からの襲撃に対する安全確保も、必要になってくると思います」

「交代で見張りをするにしても、強襲されたら1人では対処出来ない可能性があるね」


 必要な物資の運搬や、魔物が生息するダンジョン内での野営となると、魔物の襲撃への対処など必要なことがたくさんあると判ったの。


「必要な物資に関してはさ、大容量の鞄なんかを〘万物創成〙で作れば解決するかな? あっ、食料も入れるなら時間停止機能を付ければ、現地で料理する必要がなくなるね!」


 私がいわゆる魔法鞄マジックバッグ的な物があると便利だと言うと、ゼシカは呆れ顔で答えた。


「アリス様……そんな便利な物は簡単に作ることなんて出来ませんよ?」

「まぁ、そこは試してみないとね。他にも野営する時は〘天才〙に魔物を寄せ付けない結界を理解させて〘結界魔法〙でも作れないか試してみるね。あっ、狭いテントで過ごすのは窮屈だからさ、テント中を異空間にして広くできれば、大きなベッドを置いて寝たり、お風呂なんかも備え付けれたらリラックスできるよね!」


 なんてことを言ってると、ゼシカに続いてアナも呆れた顔になっていた。


「あの……アリス様。そんなことが可能なら、それは冒険というよりピクニックですよ?」

「えっ……私は至って真剣に話してるよ?」

「「はぁ~……夢のようなことばかり……」」


 ゼシカとアナは大きなため息をついたの。


 この話をした数日後、並列思考セラフィムが〘天才〙と〘万物創成〙を駆使して、従者達が『夢のようなこと』と言っていた物を実現することになっちゃうんだよね。

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