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第39話 奴隷少女の解放

 私は双剣を構えて臨戦態勢をとる。


 相手は冒険者風の輩が5人と、闇商隊の隊員が10人の総勢15人だった。この程度の相手なら全く問題はないと思うけど強そうな2人を鑑定しておく。


【バートン】

【職業】槍士 

【HP】125

【MP】35

〘槍術〙Lv5〘盾術〙Lv5〘身体強化〙Lv2

【ライザ】

【職業】魔術士

【HP】70

【MP】180

〘火魔法〙Lv7〘土魔法〙Lv6〘杖術〙Lv6


 思った通りで雑魚だった。槍士バートンが冒険者風の輩達のリーダーみたいで、魔道師ライザが闇商隊の護衛リーダーの様だった。


 バートンがにやけた顔をしながら周りの者達に命令を下した。


「おい、あの生意気なガキも顔は良いから、少し教育してから奴隷刻印紋を刻んで売り捌くからな! 顔には傷をつけるんじゃねえぞ!」

「バートン、男爵様がその少女を欲しがるかも知れないぞ。奴隷を引き渡す時にその少女を見せて、購入されるか聞いてみては?」


 ライザの言葉を聞いて、バートンは更にゲスな笑みを浮かべて私に話しかける。


「おい、お嬢ちゃんよ! そんな危ない物は直ぐに捨てて、おとなしくこっちへ来いよ! 痛い思いをするのは嫌だろう?」


 私は既に『口を出さない』と言ってあるので、一言も話さずに行動する。


『〚エリアショック〛』


 私は無詠唱で雷魔法を唱えて、周辺に軽い電流を流し全員を感電させる。バートンとライザ以外の全員がその場で崩れ落ち失神する。


「なっ、今のはなんだ?」

「こんな子供が……無詠唱魔法を?」


 何とか意識を保った2人が、苦悶の表情をしながら呟いた。私は2人に反撃する時間を与える気なんてないので、ライザに向かって一気に仕掛ける。


『ザシュッ!』


 双剣を振り〚斬撃波〛を飛ばすと、鋭い風圧がライザを通過すると首が『ポトリ』と落ちて地面を転がる。


「ちょ、何なんだよその技は……まるで剣聖クラスの技じゃねぇかよ」


 一瞬にして1人となったバートンの顔から血の気が引いて顔面蒼白になる。それでも槍を構えて攻撃姿勢に入ったので、私も無詠唱で雷魔法を放った。


「喰らえ!〚剛撃槍〛!」

『〚雷槍サンダースピア〛』


 雷槍がバートンの武技を打ち消し、その勢いが衰えないまま分厚い胸を貫くと絶命した。


 感電して失神してる者へも、慈悲を与えるつもりはないので全員死んでもらう。


『〚雷雨サンダーレイン〛』


 私は雷の雨を放って、全員を感電死させてたところで戦闘終了。離れた場所で様子を見ていたゼシカも、終わったと理解して私の元へと近づいてくる。


 私は奴隷の少女に歩み寄ると、優しく声をかけてから鎖に手を掛けた。


「もう大丈夫だから安心してね。鎖を外して解放してあげるね」

「……あなた様は……」


 少女は怯えながら質問をすると、ゼシカが私に変わって説明をしてくれた。


「こちらは私の主であるアリス様です。アリス様は悪を許さなぬ至高なる存在なのです!」


 えっと……、ゼシカさんは何を言ってのかな? 私は直ぐに訂正をする。


「あのね、そんな大した者じゃないからね。たまたますれ違った商隊が気になって、尾行したらこんな展開になっただけだからね?」

「あの、ありがとうございます。私は人里から離れた場所で両親と暮らしてました。それが、突然現れた冒険者達に両親を殺され、私は奴隷刻印紋を刻まれて、ここへ連れて来られたんです……」

「そうなんだ。もし身寄りがないのなら私と一緒に来る? 1人じゃ何かと大変でしょ?」

「お言葉に甘えなさい! アリス様は私の様な者とでも主従契約をして、保護をして下さる心優しきお方なのです。あなたは安心してアリス様に身を任せてれば良いのです!」


 あまにも私を過大評価してるゼシカの言葉に、少女が影響を受けないで欲しいと思ったが、少し間をおいて口を開く。


「あの……出来れば、アリス様の下僕としてお供させて下さい。奴隷として何でもします」

「判ったよ。まずは奴隷刻印紋は取消しちゃうね。あなたが主従関係を望むのなら、奴隷ではなく主従刻印紋で、主従契約にするね」

「その様なことがもし可能なのなら、アリス様の言う通りにお願いします」

「OK!じゃあ、あなたの名前を教えくれる?」

「はい、私は【アナスタシア】と申します。【アナ】とお呼び下さい」


 アナスタシアという名前を聞くと〘天眼〙の力を使って奴隷刻印紋を消して、新たに主従刻印紋をアナスタシアの胸に刻む。これでゼシカに続く2人目の従者となったの。

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