私は双剣を構えて臨戦態勢をとる。
相手は冒険者風の輩が5人と、闇商隊の隊員が10人の総勢15人だった。この程度の相手なら全く問題はないと思うけど強そうな2人を鑑定しておく。
【バートン】
【職業】槍士
【HP】125
【MP】35
〘槍術〙Lv5〘盾術〙Lv5〘身体強化〙Lv2
【ライザ】
【職業】魔術士
【HP】70
【MP】180
〘火魔法〙Lv7〘土魔法〙Lv6〘杖術〙Lv6
思った通りで雑魚だった。槍士バートンが冒険者風の輩達のリーダーみたいで、魔道師ライザが闇商隊の護衛リーダーの様だった。
バートンがにやけた顔をしながら周りの者達に命令を下した。
「おい、あの生意気なガキも顔は良いから、少し教育してから奴隷刻印紋を刻んで売り捌くからな! 顔には傷をつけるんじゃねえぞ!」
「バートン、男爵様がその少女を欲しがるかも知れないぞ。奴隷を引き渡す時にその少女を見せて、購入されるか聞いてみては?」
ライザの言葉を聞いて、バートンは更にゲスな笑みを浮かべて私に話しかける。
「おい、お嬢ちゃんよ! そんな危ない物は直ぐに捨てて、おとなしくこっちへ来いよ! 痛い思いをするのは嫌だろう?」
私は既に『口を出さない』と言ってあるので、一言も話さずに行動する。
『〚エリアショック〛』
私は無詠唱で雷魔法を唱えて、周辺に軽い電流を流し全員を感電させる。バートンとライザ以外の全員がその場で崩れ落ち失神する。
「なっ、今のはなんだ?」
「こんな子供が……無詠唱魔法を?」
何とか意識を保った2人が、苦悶の表情をしながら呟いた。私は2人に反撃する時間を与える気なんてないので、ライザに向かって一気に仕掛ける。
『ザシュッ!』
双剣を振り〚斬撃波〛を飛ばすと、鋭い風圧がライザを通過すると首が『ポトリ』と落ちて地面を転がる。
「ちょ、何なんだよその技は……まるで剣聖クラスの技じゃねぇかよ」
一瞬にして1人となったバートンの顔から血の気が引いて顔面蒼白になる。それでも槍を構えて攻撃姿勢に入ったので、私も無詠唱で雷魔法を放った。
「喰らえ!〚剛撃槍〛!」
『〚
雷槍がバートンの武技を打ち消し、その勢いが衰えないまま分厚い胸を貫くと絶命した。
感電して失神してる者へも、慈悲を与えるつもりはないので全員死んでもらう。
『〚
私は雷の雨を放って、全員を感電死させてたところで戦闘終了。離れた場所で様子を見ていたゼシカも、終わったと理解して私の元へと近づいてくる。
私は奴隷の少女に歩み寄ると、優しく声をかけてから鎖に手を掛けた。
「もう大丈夫だから安心してね。鎖を外して解放してあげるね」
「……あなた様は……」
少女は怯えながら質問をすると、ゼシカが私に変わって説明をしてくれた。
「こちらは私の主であるアリス様です。アリス様は悪を許さなぬ至高なる存在なのです!」
えっと……、ゼシカさんは何を言ってのかな? 私は直ぐに訂正をする。
「あのね、そんな大した者じゃないからね。たまたますれ違った商隊が気になって、尾行したらこんな展開になっただけだからね?」
「あの、ありがとうございます。私は人里から離れた場所で両親と暮らしてました。それが、突然現れた冒険者達に両親を殺され、私は奴隷刻印紋を刻まれて、ここへ連れて来られたんです……」
「そうなんだ。もし身寄りがないのなら私と一緒に来る? 1人じゃ何かと大変でしょ?」
「お言葉に甘えなさい! アリス様は私の様な者とでも主従契約をして、保護をして下さる心優しきお方なのです。あなたは安心してアリス様に身を任せてれば良いのです!」
あまにも私を過大評価してるゼシカの言葉に、少女が影響を受けないで欲しいと思ったが、少し間をおいて口を開く。
「あの……出来れば、アリス様の下僕としてお供させて下さい。奴隷として何でもします」
「判ったよ。まずは奴隷刻印紋は取消しちゃうね。あなたが主従関係を望むのなら、奴隷ではなく主従刻印紋で、主従契約にするね」
「その様なことがもし可能なのなら、アリス様の言う通りにお願いします」
「OK!じゃあ、あなたの名前を教えくれる?」
「はい、私は【アナスタシア】と申します。【アナ】とお呼び下さい」
アナスタシアという名前を聞くと〘天眼〙の力を使って奴隷刻印紋を消して、新たに主従刻印紋をアナスタシアの胸に刻む。これでゼシカに続く2人目の従者となったの。