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第37話 家を買うよ!

 私は家を買う為に不動産屋へ向かうつもりだったけど、ポロ村へ入るお金程度しかないことに気付いたので、手持ちの竜種ドレイクの素材を売って金策することにしたの。


「ねぇゼシカ、この村に竜種ドレイクの素材を買ってくれそうなお店を知ってる?」

「祖父がアイテムを売る時に付いて行った店なら知ってますが、竜種ドレイクの素材を買取りがでにるかは判りません」

「取り敢えず案内してくれる?」

「かしこまりました」


 買取りをしてくれるか判らないけど、行ってみることにしたのでゼシカの後を付いていく。


「アリス様、ここです。この【奇天烈商会】が祖父と来た店です」

「名前からして色々な商売をしてそうね」 


 私達はドアを開けて商会の建物へ入ってみると、初老の男性が私達に声を掛けた。


「いらっしゃい!パパのお使いかな?」

「えっと、竜種ドレイクの素材を買取って欲しいんです」

「はははっ、お嬢ちゃんが竜種ドレイク素材を? 玩具の間違いじゃないのかな?」

「いいえ、玩具じゃないよ、地竜アースドレイクの角を買取って欲しいの」


 私が真剣な表情で説明すると、男性は少し困惑気味な顔をしながら丁寧な話し方になる。 


「貴族の御令嬢なのでしょうか? 貴重な物を勝手に持ち出されると、ご両親に怒らてしまいますよ?」


 これは、子供が竜種ドレイクの素材を売りに来たので、親の持ち物を勝手に売りに来たと疑われてるね。面倒なので〘拒絶〙を使うことにした。


『私を疑うことを〚拒絶〛する。更に素材の買取を拒否することも〚拒絶〛する』


 言葉に出さずに念じるように〘拒絶〙を発動させてから、もう1度男性に話しかけてみる。


「この地竜アースドレイクの角を買取って欲しいの」

「おぉ、大変貴重な逸品ですね。店で用意出来る金貨が1,500枚しかないのですが、売って頂くことは出来ませんか?」

「うん、金貨1,500枚で良いよ!」

「ありがとうございます! 直ぐに金貨を用意致します」


 金貨1,500枚という大金が、簡単に手に入ったので、そのまま不動産屋へ向かうことにした。


 向かった不動産屋は【ポロ宅地販売商会】というお店で、選んだ理由は単純に目に止まったから。これも当然なんだけど店に入ってから、物件紹介と書かれたカウンターの席に着くと、店員さんは困惑してた。


「いらっしゃいませ?お嬢ちゃんは迷子になったなのかな?」

「いいえ、迷子じゃないよ。ここへ家を購入しに来たんだよ。えっと、あまり騒がしくない場所がいいかな。それと、そこそこの広さがある物件を紹介して欲しいの」

「ごめんなさいね、ここにはお菓子の家は置いてないのよ。駄菓子屋さんなら反対の通りにあるから、そっちへ行ってくれるかな?」


 うん、素材を売りに行った時と同じだった。普通に私みたいな子供が家を買いきたら、その時点で冗談で来てると思うもんね。


 面倒なので、今回も〘拒絶〙で解決することにしたの。


『私へ物件販売を拒否することを〚拒絶〛する』


「あの〜、予算は金貨1,000枚までで、あまり騒がしくない場所で、そこそこの広さがある物件を紹介してください」

「はい、かしこまりました。条件にあう物件をお持ちしますので、少々お待ちくださいね」


 暫く待つと物件を紹介してくれた。


「お待たせ致しました。こちらの物件はどうでしょうか? ポロ村の商業地区で小路通りある500㎡の土地で、3LDKの2階建てに家庭菜園が可能な庭付きの家で金貨1,000枚になります」


 家の状態は〘万物創成〙があるので気にする必要はない、その家を購入することにした。


「はい、購入したいと思うので手続きをお願いします。金貨1,000枚は今払いますね」

「かしこまりました」


 売買契約書を交わして、金貨1,000枚を支払ったことでポロ村に私達の拠点ができたの。


 店員さんに家まで案内してもらってから、家の鍵を受け取って早速家へ入ってみる。

 1階にはダイニングキッチンとリビングにお風呂があって、2階には寝室になりそうな部屋が3つあり、1部屋だけある大きな部屋を私の寝室に、空いてる片方をゼシカの部屋にしたの。


 家を購入した1番の目的の【拒絶の森】へ行き来する為の転移魔法陣はリビングに設置した。大丈夫だと思うけど戻れるのか確認をする為に、私達は転移魔法陣に入ってみる。


『シュン』


 一瞬で【拒絶の森】の拠点のサロンに移動できたの。ポロ村へ戻る前に材木を用意してから戻ることにした。必要な家具類を作るのに必要だったからね!


 取り敢えず適当な材木を持ってポロ村へ戻ったの。リビングに必要な食卓テーブルや椅子を〘万物創成〙で作ると、ゼシカがお茶を淹れてくれたの。


「アリス様、家具等の作成お疲れ様です。お茶を淹れてきました」


 ゼシカがお茶を淹れてくれたので休憩することにした。


 このポロ村の家って、冒険者ギルドでクエスト受ける時くらいしか使わないんだよね。そのうち私が〘万物創成〙で作った物を販売する店に改装するのも良いかも知れないね。

 他にもこの拠点で色々と楽しいことが出来れば良いなと思いながら、ゼシカとお茶を飲みながら休憩をした後は【拒絶の森】へ帰ったの。

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