私は残りの竜種を探して【拒絶の森】の外周を移動してると、周囲に霧が発生して視界が悪くなってくると、〘並列思考〙が状況を報告してくれた。
『アリス様、意図的に発生した霧だと思われるので、恐らく【水竜】が襲ってくると思われます。ご注意ください!』
「ありがとう。先ずは視界の回復だね〚送風〛!」
私は風を起こして霧を払うと、上空から鋭い爪で切り裂いてくる未来が視えたので回避すると、水竜の鋭い爪が地面をえぐった。
「流石に動きが速いね。〚風刃〛!」
攻撃を躱されたことで隙が出来た水竜の右翼を風の刃が切り裂いた。これで自由に空を飛び回ることを封じることに成功した。
「クワァア〜ン」
水竜は叫び声と同時に体を回転させてきた。尻尾を鞭のようにしならせて攻撃を仕掛けてきたが、この攻撃も未来視で視えているので、難なく躱してから反撃の魔法を放った。
「この一撃に耐えれるかな? 〚落雷〛!」
尻尾の回転直後で隙ができていた水竜の頭に雷が直撃すると、『ふらふら』と頭が揺れている隙を見逃さない。私は双剣に雷属性を付与してから首へ目掛けて、ドリルのように回転しながら突っ込むと水竜の首はちぎれて頭が地面に『ボトリ』と落ちた。
「よし、これで二体目だね。〘雷魔法〙との相性に助けられたかな?」
『確かに〘雷魔法〙との相性が良過ぎましたね。そうなると【火竜】には間違いなく〘水魔法〙が効きそうですね』
「そうだね、でも体が炎に包まれていなければって事ね。炎に包まれていると水が届く前に、蒸発しちゃうかも知れないからね」
そして、三体目となる竜種を探しに行こうとすると、突然火炎のブレスに襲われる未来が視えたので、魔法を発動させて水の壁で対処した。
「向こうから来てくれるなんて、探す手間が省けてラッキーだったね。〚水壁〛!」
私は水の壁を展開して火炎のブレスを相殺したあと、上空にいる【火竜】へ魔法を放って地上へと落とす。
「落っこちろ! 〚暴風〛!」
突如現れた暴風により、上空でバランスを崩した火竜は、そのまま背中から地上へ真っ逆さまに落下して悲鳴をあげる。
「クルァアア〜」
「あはっ、お腹が丸見えだよ〚石砲〛!」
円錐状で高速回転した巨石が火竜の鱗のない腹部を直撃すると、そのまま貫通して大きな風穴を開け絶命した。
「なんか……呆気なかったね」
『アリス様、背中から落ちた時点で勝負アリでしたね』
「私って、かなり運が良いのかもね!」
『運も実力のうちです』
「そうだね。最後の【風竜】もこんな感じで倒せるといいね〜」
『あと一体倒せば【拒絶の森】の外へ出る事が出来ますね。油断せずに倒しましょう』
想定外の戦いで、三体目の竜種を楽に倒せたので、最後の竜種も楽勝だと思ったのが甘かった……