私がガウェイン殿下に勝利したあと、一悶着あったところへパーシヴァル殿下が現れると、驚愕の言葉を聞くことになった。
「お前の王位継承は既に剥奪されている」
入学式で騒動を起こしたことが原因みたいだけど、ガウェイン殿下自身は継承権剥奪のことを全く知らなかったようだ。王位継承権を持たないガウェイン殿下は、王家の威厳を自分勝手に振りかざすという愚行を犯したのだ。兄であるパーシヴァル殿下はそのことを見過ごさず、ありのまま国王陛下へ報告すると伝えると、ガウェイン殿下はその場に力なく崩れ落ちた。
パーシヴァル殿下は、項垂れる弟を気遣うことなく私の下へ歩み寄ると、片膝をつきながら緊張した面持ちで口を開いた。
「レイバック辺境伯令嬢、愚弟の犯したことをお詫びします。陛下へ今回の愚行を全て報告をし、速やかに処罰を下すことを約束します」
私が返事をしようとすると、ファビオはそれを制してパーシヴァル殿下に向けて口を開いた。
「お義母様の逆鱗に触れない裁定を下してください。これ以上の失態を繰り返すと、流石に王家と辺境伯家の関係修復は不可能になる。そのことを肝に銘じるように」
ファビオの表情はとても険しいもので、脅しとも言えるような言葉を投げかけていた。王家を相手にしても一歩も引かないその態度は、とても勇ましく心強く思った。
「レイバック辺境伯令息の言葉を肝に銘じて、厳正な処罰を下すことを第一王子の名にかけて誓います。では、愚弟を王宮へ連行するので失礼します」
パーシヴァル殿下は、ファビオの問いかけに答えたあと、厳しい表情のまま項垂れたままのガウェイン殿下の腕を掴んで立ち上がらせると、演習場を後にして王宮へと向かったの。
2人の王子が演習場を去って行くと、叔母様が『パンパン』と手を叩いてから口を開いた。
「とんだ茶番があったが、武術の授業はこれで終わるぞ。生徒達は各教室へ戻るように。それからランベルト、お前は約束通りにこの学園から去るように」
「っ、ま、待ってくれ!」
「待てだと? 貴様、私との約束を違えると言うのか?」
ランベルトの「待ってくれ」の言葉を聞いた瞬間、叔母様の雰囲気が一変する。
叔母様は殺気にも近い威圧を発すると、そのままランベルトへ向けられた。
「ひっ……」
威圧に気圧されたランベルトは思わず声をあげて尻もちをつく。叔母様は嘲笑いながら近づくと、剣を収める鞘に手を当てながらランベルトへ命令をする。
「直ぐに学園を去れ。判ったな?」
「は、はひ……」
叔母様の殺気を前に、逃げるように演習場から駆け出して行くランベルト。巻き戻る前は、Sクラスの教師として教鞭を取っていた男は、このような形で教師の職を失い学園を去って行った。
授業が終わり別邸へ帰宅して、すぐに着替えを済ませると『少し休む』とサンドラに伝えて1人になる。そしてベットで横になりゆっくりと目を瞑る。
(ガウェイン殿下が失脚したのなら、あの2人の諜略によって私とファビオが殺される未来は、回避できたかな?)
巻き戻ってからこれまでのことを振り返ると、前とは違う未来へ進んでいる実感が湧いてきた。すると、私の目から涙が溢れて頬を伝うのだった。