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第1話 巻き戻った人生

 暗闇の中に落ちていくことで、私は自分が死んだのだと悟った。死ぬこと自体が初めてなので、この後どうなるのかは全く判らなかった。



(とりあえず、目を開けてみれば良いのかしら?)



 善行を行った義弟ファビオと、我儘三昧で愚か者だった私が、同じ場所へ行けるとは思っていない。だけど、もし会えるのなら真っ先にファビオに謝罪をしたいと思っている。そんな淡い期待に胸を膨らませながら目を開けたの。



「お嬢様!」



 あれ? 私は死んだはずなのに、目の前には専属メイドのカーラが居た。それにしてもカーラの雰囲気がすごく幼く感じるのだけどどういうこと?



「えっと……私は死んだはずじゃ?」


「なにを言っているのですか!お嬢様は生きています。3日前から高熱でうなされていて、ずっと寝込まれていただけですよ」



 あれ? 高熱でうなされていた? 私はリリアの剣によって胸を貫かれたはず。なので、胸に手を当てて確認をしてみると驚愕した。



(えっ、胸に痛みは全くない。っていうか私の胸が『ペタンコ』なんだけど......)



 自慢ではないが、私は顔もスタイルも人並み以上というか、最上級クラスだと自負していた。それなのに大きな胸の膨らみを感じることができなかった。慌てて体を起こして、自分の体になにが起こったのかを確認する。



(えっ、私の体が小さくなっている?)


 17歳だった私の身体が明らかに小さくなっていた。いったいどうなってるのか理解できないので、カーラに私の年齢を聞いてみる事にした。



「カーラ、私って何歳だったかしら?」


「えっ、高熱のせいで記憶を失われたのですか? お嬢様は4歳ですよ」


「あ、そう……、ありがとう」


「お嬢様、顔色が悪くなられましたよ? まだ気分が優れないのですね? お体にさわりますので横になってお休みください」


「うん、そうするわね」



 私は暗殺されたはずなのに、気が付いたら4歳の身体になっていた。理由は判らないけど、13年前に時間が巻き戻ったみたい。


 せっかくやり直すチャンスを得たのだから、才能がないことを嘆いたり、辺境伯家の威厳で我儘三昧な生き方をするのではなく、真面目に努力をして生きてみようと思ったの。そして、私を庇い非業の死を遂げたファビオには、誰よりも幸せになってもらおうと思ったの。




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