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第50話 おじさん

洋は、いつも気になっている、あじさんがいる。マスコミでもない。スカウトマンでもないおじさんが 毎日、練習を見ている。部員の中でも噂になっている謎のおじさんだ。


「おじさん、もしかしてOB?」


「良く分かったのう。」 


おじさんは、監督の先輩だった。


「君ら見てると元気になるんだわ。」


「元気無いの?」


おじさんは、奥さんを亡くしていて体も壊してアパート経営をしてるらしい。


「ふ〜ん。じゃあ、暇なんだ?」


「暇人じゃな〜。」


じゃあとばかりに洋は勝手におじさんをコーチにした。監督も先輩には頭が上がらない様で黙認してくれた。


「俺さ、おじさんの気持ち少し分かるんだよね。大切な人を失った喪失感っていうの。」


「まだ、若いのに難儀じゃあな〜。」


おじさんは、アドバイスも何もしなかった。でも、ベンチに居てくれるだけで部員達は安心した。しかし、ある日、突然来なくなった。みんな心配したが誰もおじさんの住んでる家を知らなかった。洋が一番落ち込んだ。


「辛気臭いじいさんが居なくなって良かったやん!」 


洋は、治を殴り飛ばした。


「お前には人の心って物が無いのかよ?」 


洋は、珍しく激高した。


伸二と啓太に洋は抑えられた。


「先輩、おじさんの為にも甲子園行きましょう。」 


啓太が言った。

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