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第49話 IQ200

伸二の控えの捕手、荻窪啓太は、伸二とは対照的で背がスラッと高くガッチリしている体格だ。IQ200あるという噂が流れた。連日、マスコミに洋は追い回されていた。伸二としては、啓太と洋と妙子の事で参ってしまった。練習試合で啓太が代わりに捕手をする事になった。治に啓太は、全部真っ直ぐで押して下さいと言ってきた。


「言われんでも分かってるわ!」


とイライラを啓太に投げ込んできた。毎日、毎日、塩見!塩見!ってうるさいんじゃボケ!エースは俺だ!治の球は荒れ球で速い。だから悪球打ちぐらいしか打てない。初めて治は練習試合で一人で投げ切って完全試合をした。


「ナイスです。先輩。」


と啓太は治に言った。


「ナイス!リード!」


と洋は啓太に声を掛けた。


啓太は、ドキッとした。自分のリードで治が勝ったなんて普通分からない。あの人にはバレてる?洋の背中を見つめて啓太は冷汗をかいた。


次の試合、抑えで洋が出て来た。啓太は、巧みに先輩のリードに任せますと言った。洋は治と違う。バカじゃない。お手並み拝見だ。


最初からフォーク、フォーク、ストレートで三球三振。何だ?このリード?啓太の頭の中にも無いリードをして来る。三球三振、三球三振で試合は終わった。訳が分からないリードだ。勝てねーと啓太は洋を認めた。


「ナイス!リード!」


と洋は啓太に言ってきた。分からないリードは自分自身でしたじゃん。本当の天才は理解不能だと啓太は思った。



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